製薬業界を中心とした近年の薬剤費抑制策の弊害を指摘する声と、財務省など更なる薬剤費抑制策を求める声がせめぎ合い、政策の行方は不透明度を増している。わが国の薬剤費への資源配分の特徴を客観的に評価するには、諸外国との比較が有効である。薬剤費の国際比較は、SHA(A System of Health Accounts)と呼ばれる国際基準に基づき推計された健康支出(Health Expenditure)のOECD公表値により行われるのが通例であり、重要な政策決定の場面でもしばしば用いられる。わが国の健康支出のOECD公表値は、医療経済研究機構(IHEP)の推計によるものである。SHAでは、薬剤費に関する項目が、処方薬、OTC薬、総薬剤費の三つあり、直近の公表値は、それぞれ約 10.9 兆円、1.7 兆円、1.4 兆円である。