経済・政策レポート
米国では、天然ガスの生産が堅調。４月の生産量はコロナ前を１割強上回る水準まで増加。背景として、ロシアからのガス供給が急減した欧州などでＬＮＧ（液化天然ガス）の需要が旺盛であることが指摘可能。2022年のＥＵ向けＬＮＧ輸出は前年比2.4倍に急増。
米国のＬＮＧ輸出は、次の２点を理由に今後も増加する見通し。第１に、海外需要の増加。ウクライナ戦争の終結が見通せないなか、地政学リスクに左右されにくい米国産ＬＮＧへの需要は強い状況が続く公算大。
第２に、国内需要の減少による輸出余地の増加。米国で2022年に成立したインフレ抑制法による税控除などから、クリーンエネルギー関連投資が増加する結果、米国内のガス需要は今後抑制される可能性。ＥＩＡの予測では、これらの国内余剰分が海外に輸出されることで、2030年代の米国のＬＮＧ輸出量を１割程度押し上げ。
ＬＮＧ輸出の増加は、米国景気の押し上げ要因に。価格の高騰と相まって、ＬＮＧ輸出が輸出全体に占めるシェアは2022年にかけて上昇しており、景気に与える影響は増大。
ただし、鉱業における人手不足の長期化がガス生産を制約するリスクには要注意。鉱業以外の雇用者数はコロナ前の水準を回復した一方、鉱業部門の雇用者数の復元は道半ば。
(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
- 経済・政策レポート