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リサーチ・フォーカス No.2023-007

エルニーニョ現象でアジア経済に下振れリスク ― 農業や水力発電への依存度が高い国への悪影響が大 ―

2023年05月23日 熊谷章太郎


2023 年夏から秋にかけてエルニーニョ現象が生じる可能性が高まっている。これに伴う異常気象は、以下の経路からアジア新興国の景気を下押しする可能性がある。

第1に、農業生産が減少する。所得水準が低いアジア新興国では、GDPや就業者に占める農業の割合が高いほか、消費に占める食料支出の割合も高い。そのため、農業生産の減少やそれに伴うインフレが景気を強く下押しすると考えられる。

第2に、水力発電による発電量が減少する。東南アジアや南アジアの新興国では、水力発電への依存度が高く、主要な河川の水位が減少すれば電力不足が生じ、製造業やサービス業の生産活動を制約する。その結果、食料以外の分野でも供給不足に伴うインフレ圧力が強まる可能性がある。

2010年代半ばのエルニーニョ現象の発生局面では、異常気象によるインフレ圧力が強まったものの、原油価格の大幅下落がこれを打ち消し、景気は底堅く推移した。これに対し、現在は国際情勢の緊迫化などを背景に資源価格は高止まりしており、異常気象に起因するインフレからの下押し圧力に対して景気は脆弱である。



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