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TOPIX500社における役員報酬の支給実態調査(2022年度版)

2023年04月20日 綾高徳


 株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門は、TOPIX500社における役員報酬の支給実態について調査しましたので、この結果を公表します。

【調査概要】

□調査目的
・TOPIX500社における報酬水準や報酬構成比率等を調査・分析し、役員報酬制度を検討する際のベンチマークデータの1つとして活用することを目的に実施した。

□対象企業とソース
・2022年10月31日現在のTOPIX500構成銘柄500社を分析対象とした。調査は有価証券報告書をソース(※1)とし、有価証券報告書記載の4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(2)【役員の状況】、(4)【役員の報酬等】から役員人数、報酬項目および額を抽出して整理した。
・有価証券報告書は2021年10月~2022年9月決算のものを用いた。

----【要 旨】----

■報酬水準
・TOPIX500社における社内取締役(執行役含む、監査等委員を除く、以下同)の年間1人当たり平均総報酬(※2)は中央値で64.6百万円、基本報酬39.8百万円、賞与17.9百万円、株式報酬9.1百万円であった。社外役員の年間1人当たりの平均総報酬は中央値で10.8百万円であった。
・各社の当期純利益に対する役員報酬総額の割合(※3)は中央値で1.3%であった。

■報酬構成比率(報酬総額に占める各報酬額水準の割合_※総額ベース)(※4)
・社内取締役の報酬構成比率は、企業規模(売上高)が大きいほど業績連動報酬比率が高くなる傾向が見て取れる。3兆円以上の企業では固定報酬(基本報酬):業績連動報酬(賞与+株式報酬)の構成比率はおよそ4:6であり、業績連動報酬比率が固定報酬比率を上回っている。1兆円以上3兆円未満の企業では5:5で半々、1兆円未満の企業では6:4となる。
・社外役員の報酬構成比率は基本報酬96.7%であった。

■業績連動報酬算定に用いるKPI(財務、非財務指標含む)
・賞与算定に用いるKPIは、採用数(※5)の多い順に①営業利益(率)、②当期純利益、③個人評価。株式報酬(業績連動型)は①営業利益、②ROE、③ESGであった。

■株式報酬の種類
・株式報酬は、採用数(※6)の多い順に①RS‣RSU(208社)、②信託型株式報酬(172社)、③SO(80社)、④PS‣PSU(56社)、⑤ファントムストック(12社)であった。

■ペイレシオ(1人当たりの役員報酬/社員平均給与)
・ペイレシオの中央値は8.5倍である。企業規模が大きくなるにつれてペイレシオが高まる傾向が見て取れる。

※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】

(※1) 役員報酬サーベイの方法論は、主として本調査で採用した有価証券記載事項から抽出する方法と、アンケートによる方法がある。それぞれの方法にメリット・デメリットがあり目的に応じて方法論を選択、または組み合わせて使用することが重要である。
(※2) 有価証券報告書記載の4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(4)【役員の報酬等】➁「役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数」表に記載の報酬額を、(2)【役員の状況】①役員一覧に記載の役員数をカウントして除算した。
(※3) 割合=役員報酬総額/(当期純利益+役員報酬総額)にて計算した。
(※4) 報酬構成比率は、総報酬の総和に占める各報酬の総和の割合である。
(※5) 延べ数。複数のKPIを用いる場合、複合的にKPIの組み合わせを検討することが重要である。
(※6) 延べ数。TOPIX500社クラスになると、異なる種類の株式報酬を組み合わせて用いるケース(例えば中期インセンティブとしてのPSUに、長期インセンティブとしてのRSの組み合わせ)もみられた。
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