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リサーチ・アイ No.2023-006

G7で浮き彫りとなったわが国の脱炭素政策の課題

2023年04月19日 大嶋秀雄


4月15~16日、札幌にてG7気候・エネルギー・環境相会合が開催。近年、気候変動対応の国際議論の焦点は、2050年脱炭素などの長期目標の設定から、産業別目標や具体策にシフト。気候変動対応で先行するG7における議論は、今後の国際議論の方向性を占ううえで注目。

成果として、共同声明では、35年の温室効果ガス(GHG)排出削減目標や洋上風力・太陽光発電の導入目標が示されたほか、円滑な脱炭素に向けた施策として、他社の排出削減への貢献量の計測やトランジションファイナンスの推進、脱炭素に重要な資源の供給網の強化、排出削減措置のある天然ガスへの投資等に言及。また、附属文書では、カーボンクレジットの品質に関する原則や地方の脱炭素に向けた国際連携枠組み等を発表。

一方で、わが国と米欧の意見対立も顕著。具体的には、石炭火力の廃止時期や電気自動車(EV)普及の目標は、わが国が難色を示したため共同声明には明記せず。わが国が推進するアンモニアの活用では、欧州などから反発があり表現が柔軟化。

こうした議論から、わが国の課題も浮き彫りに。わが国は、脱炭素電源やEVの普及が遅れていることに加えて、GX戦略は、企業の自主的な取り組みの支援が中心で、具体的な目標等はなく、国際公約を掲げるハードルも高い。また、脱炭素目標との整合性も不明瞭で、海外からの理解も不十分。現実的な脱炭素戦略の模索は重要ながら、わが国は、脱炭素への具体的な道筋を示し、国際的な理解を得ることが急務。産業競争力の観点でも、
対応が遅れている分野こそ、野心的な目標設定によって取り組みを加速させることが重要。

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