当該運送の事業者と走行区域の市町村の両者に生まれる変化に関して、その因果関係の整理に役立つのがロジックモデルである。ロジックモデルとは、1960年代後半に米国国際開発庁(USAID)が開発したロジカルフレームワークが起源である。ロジックモデルは、資源のインプット、活動、アウトカムないしはインパクトの関係を、論理的に因果関係を図解する。これを用いて、自動運転が、短期的アウトカムとして事業者の目的に資するものであり、中長期的アウトカムないしはインパクトとして市町村の目的に資することにつながると図示できれば、事業者による特定自動運行が、地域住民の利便性又は福祉の向上に資すると説明できる一助になろう。ロジックモデルを活用できるのは、都道府県公安委員会から市町村の長等への意見聴取の機会だけではない。運用開始後、市町村は当該運送が地域住民の利便性又は福祉の向上に寄与したかどうか、検証することに役立つにも違いない。ロジックモデルで整理した各因子に評価項目を定め、検証を行うことで、最終的に市町村の政策目的の実現に貢献したか確認できる。いわゆる、EBPM Evidence Based Policy Making 「エビデンスに基づく政策立案」の視点から、当該運送の計画達成状況の評価・改善に利用することができるのだ。