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リサーチ・フォーカス No.2022-064

わが国のサービス価格に上昇の兆し ―強まる企業の価格転嫁姿勢、今後は賃金上昇が押し上げ圧力に―

2023年03月16日 西岡慎一北辻宗幹


わが国のインフレ圧力はサービス分野にも波及している。公共サービスや家賃を除く一般サービス(政策要因を除く)は前年比+3%超と1993年以来30年ぶりの伸びを記録している。なかでも外食や住宅修繕といったサービス分野で値上げ幅が大きい。

サービス価格の上昇は原材料高を背景としている。昨秋にかけて進んだ円安や資源高の影響で、食料品や電力・ガスなどの原材料コストが大きく増加している。企業はコスト増を販売価格に反映させる動きを強めており、試算によれば、原材料コスト10%上昇時の価格転嫁率は最近では1%台半ばと、ゼロ%台であったコロナ前から大きく上昇している。

企業が価格転嫁に積極的な背景として、現在の原材料高が一時的ではなく持続的と予想している点が挙げられる。今回のインフレはウクライナ問題というわが国政府・企業には如何ともしがたい国際情勢が影響した面が強く、家計が値上げを 受容せざるを得なかったことも、企業の価格転嫁を後押しした可能性がある。

今後は、人件費の増加がサービス価格を押し上げる可能性がある。サービス業では人手不足が深刻化しており、賃金が上がり始めている。春闘で予定されるベアも、サービス価格との連動性が強い正社員の所定内給与を上昇させる。

賃金と物価が好ましい形で持続的に上昇するためには、①政府主導でコスト増に応じた価格転嫁が可能となる環境を整備すること、②実質賃金の上昇を通じて家計の値上げ耐性を高めるよう企業が労働生産性を向上させることが重要となる。


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