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リサーチ・フォーカス No.2022-061

米国で広がる民間金融教育サービスの概要とわが国への示唆

2023年02月28日 野村拓也


わが国では、昨年11月に公表された資産所得倍増プランの7つの柱の一つとして、金融教育の拡充が掲げられており、金融経済教育推進機構(仮称)の設置を含め、官民一体で対策を検討中。

一方、米国では、金融教育サービスを提供するフィンテック企業が増加しており、既存金融機関を含めた競争を通じて、サービスの高度化・多様化を実現。具体的な事例は以下の通り。

①送金、資産運用等の一般的な金融サービスを提供するフィンテック企業や金融機関が、マーケティング・ツールとして金融教育コンテンツを無償で提供するケース。ゲーム感覚での学習(ゲーミフィケーション)、AR などの最新テクノロジーの活用、キャッシュやポイントなどの金銭的なインセンティブの付与など、顧客を惹きつける仕組みを内包。

②金融教育を提供するためのプラットフォームを開発し、個人向けに金融教育コンテンツを提供する必要があるものの、ノウハウ獲得やシステム開発が難しい地公体や中小金融機関に提供するケース。利用者の特性に合わせて、多様なコンテンツから必要なテーマを組み合せてパーソナライズする等の特徴あり。

③個人向けに金融教育コンテンツを有償で提供するケース。ギフトカードやポイント等の金銭的なインセンティブを付与。法人契約した金融機関が、コスト負担をしたうえで、顧客向けサービスの一環として提供することも可能。

こうした米国の民間企業による金融教育サービスの提供は、わが国における金融教育の普及や個人の金融リテラシーの向上に向けて、①ゲーム感覚での学習やポイントの付与等による個人の金融教育の利用に係る心理的なハードルの引き下げ、②地公体や中小金融機関による民間プラットフォームの活用を通じた金融教育の提供主体の拡大と質の高度化、といった観点から参考とすべき。

わが国でも、官民連携による金融教育の提供のみならず、民間企業単体による金融教育サービスの提供も促進し、競争を通じて、その普及と質の高度化を図ることが肝要。


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