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農村地域におけるビッグデータ活用の可能性と課題

2023年02月28日 福田彩乃


 デジタル技術の進展が著しい中、ビッグデータの活用が進んでいる。ビッグデータとはデジタルディバイス等を通して取得される顧客データやセンサーデータ等の膨大なデータ群を指す。一般には、製造プロセスの見える化・分析によるコスト削減・品質向上や、消費者行動の分析による顧客インサイトの獲得などが知られているが、データ活用の可能性は、まちづくりの分野においても広がっている。
 とはいうものの、2022年4月に国土交通省が取りまとめた「データを活用したまちづくり―活用のヒントと事例-」を見ても、現在、主に議論されているのはスマートシティなどの「都市」を前提としたものがほとんどである。そこで本稿では、「農村地域」におけるビッグデータを活用した地域づくりの可能性と課題について、筆者が自治体の方々と試行的に行った取り組みの中で得た気づきについて述べたい。

 まず、農村地域においても、適切な現状把握やエビデンスに基づく政策立案が可能になるという点で、ビッグデータの活用は意義深い。一例を紹介すると、「静岡県の中でも浜松周辺を境に活動エリアが違うことを感覚的に捉えていたが、データによって明確化され、町の効果的なPRエリアが特定できた」や「高齢者の体力づくりに関する事業は、その効果が理解されにくいが、健康寿命の延長や要介護率の低減に繋がっていることをデータで確認できると、自信を持って予算要求できる」など、その効果を実感した声を耳にした。
 他方、農村地域では活用できるデータの種類・サンプル数共に制限があるのも事実である。農村ではデータ取得のベースとなるキャッシュレスカードやポイントカードを利用できる店舗が少なく、交通系ICカードはあまり使われていない(地方では公共交通機関が限定的で、車移動が主である)ことも想像に難くない。データを取得するディバイスの普及が進んでいないため、都市と全く同じ種類・規模でデータを取得し、分析できるわけではないのはやむを得ない。

 そうした中で重要なのは、
 ①「人が知りたいこと」と「データで示せること」を、より一層、具体的にマッチングさせなければならない。前者不在では「データは確かに揃った(が、次のアクションに繋がらない)」となり、後者が欠けていれば「知りたいことが知れなかった」となってしまう。
 ②ビッグデータを保有する企業が協力し、複数のデータを組み合わせて利用できるスキームを構築することが望ましい。例えばキャッシュレスカードだけでは十分なデータ量を取得できなかったとしても、スマホのコード決済のデータと組み合わせることができれば、その利用可能性は広がるだろう。
 都市と比べて、活用のハードルは多少高いものの、農村地域のデータ活用は今後、更なる発展の可能性があると考えられる。各々の農村地域の側から、そのチャンスを能動的に掴んでいくことも求められる。

※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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