リサーチ・フォーカス No.2022-056 岐路に立つ地銀のビジネス戦略 2023年01月31日 大嶋秀雄低金利環境や競争激化、人口減少など、地銀のビジネス環境は厳しさを増し、とくに、中核の貸出ビジネスの収益性が悪化。多くの地銀は、低金利攻勢による貸出増加や人件費等の大幅な経費削減によって収益維持を図っているものの、こうした戦略は持続的ではなく、戦略再考を迫られている。こうしたなか、多くの地銀が様々な新ビジネスを模索しているものの、総じて小規模。新ビジネスの収益化には時間を要するため、短期的には、貸出等の既存ビジネスの収益性悪化に歯止めを掛けることが重要。そのうえで、長期的な観点で、新ビジネスの育成・収益化を目指すべき。短期的な収益基盤強化として、企業向け貸出では、精緻なコスト評価や収益管理の徹底で過当競争を回避するとともに、顧客とのリレーション強化や提案力の強化などを進め、適正な金利・手数料設定によって収益性を改善させるべき。また、リテールビジネスでは、住宅ローン等での過当競争を回避するとともに、事務・サービスへの適正な手数料設定や戦略的な店舗再編、他行・他社連携によるサービス向上・経費削減等を進め、収益性の改善を図ることが重要。長期的な新ビジネス展開では、地域経済の理解を深め、地域課題を見極めて、銀行ビジネスとのシナジーを重視し、地域課題を解決するビジネスを追求すべき。具体的に、次の4つの領域が有望。①地方創生:既存のビジネスは小規模。ビジネスの多様化や自治体等との連携で規模拡大を図る。②デジタル化:中小企業や自治体のデジタル化需要は大。地銀の専門性向上も急務。③気候変動:早期の脱炭素が難しい企業や中小企業に対する多面的な支援体制構築が重要。④銀行向け:銀行への役割期待が多様化する一方、多くの地銀はリソースが限られ、総花的な展開では収益化困難。競争力のあるビジネスを育成し、他行へのビジネス展開を図るべき。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)