リサーチ・アイ No.2022-070 米国の人手不足は緩和、賃金上昇率は低下へ ― 移民流入による労働供給拡大、インフレ率は2024年にかけて2%へ ― 2022年12月28日 栂野裕貴米国では、労働力人口が今年に入ってからコロナ禍前の水準を回復。米国人労働力のうち中高年層(45歳以上)では、コロナショック直後に増加した早期退職者の職場復帰が進んでおらず、コロナ禍前から200万人減少。一方、外国人労働力がほぼ同数増加。外国人労働力は、バイデン政権が前政権よりも移民希望者に寛容であることや、コロナ禍の水際対策が緩和されたことを背景に、2021年央以降急速に増加。今後、中高年層の職場復帰が進まなかったとしても、移民の流入が続けば、労働需給を緩和させる見込み。試算によれば、外国人労働者がコロナ禍前のトレンド並みに増加した場合、2023年末には労働需要超過の度合いがコロナ禍前の水準まで低下し、人手不足は概ね解消。労働需給が緩和することで、賃金上昇率は低下する見通し。労働需給ギャップと賃金上昇率の正の相関関係(フィリップス曲線)を踏まえると、賃金上昇率は2023年末までに金融政策の2%インフレ目標に整合的な3%程度に落ち着く公算。賃金の上昇圧力が減衰することで、米国のインフレ率は2024年にかけて前年比+2%へ向けて低下していく見込み。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)