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リサーチ・アイ No.2022-066

日銀の政策修正が地方銀行収益に及ぼす影響

2022年12月22日 大嶋秀雄


12月20日に日銀は、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)における長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%に変更。これを受けて、わが国国債の中~超長期の金利が上昇。

金融市場では、日銀がマイナス金利政策解除といった、さらなる政策修正に動くとの見方も。政策金利や市場金利の上昇が、銀行の貸出金利を押し上げ、預貸金利鞘の改善、ひいては収益回復につながるとの思惑から、地銀をはじめとする銀行株は急上昇。

もっとも、日銀による政策修正は、以下の点から、地銀の収益回復につながらない可能性。
①今回の修正による金利上昇は長期中心であり、短期金利に連動する変動金利が中心である住宅ローンや企業向け貸出の金利に大きな影響なし。長期固定金利の住宅ローンや企業向け貸出、社債の金利には影響するものの、今後の新規貸出から段階的に反映。
②地銀は、これまで政策金利や市場金利が横ばいで推移するなかでも、貸出金利を引き下げ、貸出残高を増やす戦略を採用。今後、日銀がさらなる政策修正に動いた場合も、すぐさま貸出金利を引き上げられるかは不透明。
③地銀は、余資運用において、超長期の円債保有を増やしており、超長期金利の上昇は、むしろ、保有円債の評価損の増加につながる恐れも。

地銀は、リスクに応じた適正なリターン(利鞘)の確保を図ることによって、貸出の収益性低下に歯止めを掛けることが重要。そのうえで、中長期的な観点から、新ビジネスの模索と収益化といった収益力強化策に取り組むことが求められる。


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