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リサーチ・フォーカス No.2022-051

深刻な人手不足でわが国賃金に上昇圧力 ―労働参加率の停滞で失業率2%割れも視野―

2022年12月22日 西岡慎一


わが国では人手不足感が強まっている。経済が停滞したわりに人手不足感が強まる背景には、労働供給が頭打ちとなっている点が挙げられる。コロナ流行後の水際対策で外国人労働者の流入が減少している。さらに、コロナ前まで活発であった女性や高齢者の労働参加が足踏みしている点も、労働供給の停滞を招いている。

このまま経済活動の正常化が進めば、わが国は深刻な人手不足に陥る可能性がある。余剰人員(就業希望者や就業内定者)は20年前から半減しており、潜在的な労働参加率の上昇余地は1~2%に過ぎない。2010年代に社会進出が進んだことで、女性の余剰人員が大きく減少したことが背景にある。今後、経済活動が正常化する一方、労働参加率が停滞した場合、失業率は2024年に2%を割り込み、1970年代前半以来の人手不足に陥る計算となる。

今後、失業率が低下するにつれて、賃上げ圧力が強まる可能性がある。わが国では、失業率が2%を下回ると、賃金上昇率が急速に高まる傾向がある。これは、多少の人手不足であれば、企業は将来の過剰雇用の可能性を勘案して賃上げを控えるが、経営に支障を来たすほどの人手不足に直面すると、企業は積極的な賃上げに踏み切って雇用を確保することを反映している。

このような動きはすでに局所的に生じている。対面型サービス業では、需要が回復する反面、コロナ禍で落ち込んだ労働力を復元できておらず、人手不足が深刻化している。これにより同部門の賃金は前年比で5%近くまで上昇している。今後、こうした賃上げ圧力が、広範な産業に広がっていくことが予想される。


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