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リサーチ・フォーカス No.2022-050

金融機関に求められる気候関連リスク対応の強化~リスク管理への統合と脱炭素支援の強化を~

2022年12月20日 大嶋秀雄


世界の温室効果ガス(GHG)排出量が増加するなか、世界の気温は着実に上昇し、各地で異常気象や災害の被害が拡大。一方、社会・経済構造の大規模な変化が不可欠である脱炭素は、経済活動へ悪影響を及ぼす懸念。こうした気候変動や脱炭素に伴う悪影響は、「気候関連リスク」と総称。

金融セクターでは、気候関連リスクが金融機関経営に重大な影響を及ぼしうるため、気候関連リスクの定量的な影響分析を進めるとともに、具体的な気候関連リスク対応にも着手。

影響分析では、各国金融当局が組織するNGFSが、様々な金融・経済指標への影響を推計した気候シナリオを公表する一方、各国金融当局は、ストレステストの手法を用いた気候変動ストレステストを実施。もっとも、データ・分析手法の制約、金融機関の分析ノウハウ不足を背景に、分析精度は不十分。

金融機関における気候関連リスクへの対応は、以下の3段階で整理可能。
①リスクの認識:リスク管理態勢の構築やエンゲージメント等を通じたリスク認識の精緻化。
②リスクの評価:網羅的なリスクの特定や様々なシナリオ分析を通じた広範なリスク評価。
③リスクへの対応:リスク管理の枠組みへの統合による気候関連リスクへの備えの強化や投融資先の脱炭素支援を通じたリスク低減。

わが国を含め、金融機関による気候関連リスクへの対応が進められているものの、リスク認識・評価は十分と言えず、現状、リスク管理への反映は部分的で、脱炭素支援も動き出したばかり。

今後、わが国の金融機関には、気候関連リスク対応の強化に向けて、政府とも連携して、態勢整備や人材育成、ノウハウ蓄積を進め、リスク認識・評価を精緻化するとともに、各リスクカテゴリーのリスク管理プロセスへの段階的な組み込みや、早期の脱炭素が難しい産業や中小企業の脱炭素支援の強化によるリスク低減を図ることが求められる。

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