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「中国製自動車の海外展開に関する研究会」設立について

2022年08月29日 創発戦略センター、程塚正史、王婷李建平、新倉美紀


 中国製自動車は、2010年代後半を通じて100万台前後の輸出台数でしたが、2021年には213万台(中国乗用車連合会の調査に基づく。)と前年比2倍以上に伸びました。この拡大傾向は2022年に入ってからも続いており、1~6月の上半期実績からは通年で300万台を超えることになる可能性もあります。近い将来、日本製自動車の輸出台数に匹敵し、さらには上回る規模になることが想定されます。

 この背景には、コロナ禍という一時的な影響もある一方、その底流には製品の品質向上やEVのラインナップ拡大、中国政府による政策的な支援、自動車メーカー自身の戦略転換があると思われます。2020年代を通じて、中国製自動車が欧州諸国や米国などの先進国を含め、世界各地に普及する可能性が高まりつつある状況です。

 中国製自動車の海外展開の拡大は、日系企業にとって脅威であるだけでなく機会にもつながります。例えば中国製自動車を活用した国内外でのサービス事業や、中国メーカーの生産拠点の変化に伴う取引拡大などの可能性もあります。まずは中国メーカーの戦略を見極めたうえで対応を検討することが必要です。

 以上のような背景を踏まえ、株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)は、急速に拡大しつつある中国製自動車の海外展開に関する動向と今後の影響を分析することで、日系企業にとっての機会や脅威を見出すことを目的に、「中国製自動車の海外展開に関する研究会」(以下、本研究会)を2022年9月に設立します。本研究会では、下記の活動を行います。

 ①二次資料整理
中国製自動車の海外展開が急拡大した理由やメーカー各社の方針等に関して、中国語文献等を用いて整理します。また、入手可能なデータを用いて、メーカー各社の海外展開に関する実績や見通しを分析します。

 ②主要メーカーとの情報交換
中国の主要な自動車メーカー4~6社の海外事業担当者に、研究会会合にて自社の実績や方針等についてプレゼンテーションしてもらうとともに、研究会メンバーである日系企業との情報交換を行います。

 ③今後の影響についての分析
二次資料整理や主要メーカーとの情報交換を踏まえて、今後のグローバル市場でのシェアの変化や、中国製自動車の受容性拡大可能性、日系企業にとっての機会・脅威などについて検討します。

 日本総研は、2020年代に中国の自動車産業が非連続な発展を遂げる可能性を見据え、2018年度以来、中国市場に関する研究会を毎年開催して参りました。中国の自動車関連メーカーのほか、IT企業をはじめモビリティサービス事業者、各級政府等と繰り返し意見交換を行い、中国市場に関する理解を深めてきております。本研究会は、これまでの活動に基づく知見を活かして実施いたします。

 本研究会終了時には、中国製自動車の海外展開急拡大という変化を踏まえて日系企業が進むべき方向性を明らかにし、国内外の企業による連携活動を進める予定です。

◆研究会メンバー
以下の事業者を中心に、日系の大手企業10~20社が参画します。
 ・自動車部品メーカー
 ・自動車用素材メーカー
 ・商社
 ・モビリティサービス事業者
 ・物流事業者

◆活動期間
2022年9月2日~2022年11月30日
                                                  以上


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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