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リサーチ・フォーカス 2022-025

地方公共団体の情報システム標準化に向けた課題
仕様の標準化にとどまらず、共同利用を目指すべき

2022年08月04日 藤山光雄


地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化を促す取り組みが進んでいる。国が提供する標準仕様書に準拠したアプリケーションをベンダーがガバメントクラウド等に構築し、国が地方公共団体にその利用を義務付けるものである。

地方公共団体の情報システムの標準化は、以下に示す観点から喫緊の課題といえよう。①エンド・ユーザーである個人や事業者の利便性向上、②国や他の地方公共団体との連携が容易にできるシステム環境の整備、③将来的な職員の減少に備えた業務の効率化、④ベンダーが果たす役割の見直し。

しかし、これまでの政府の取り組みは、基幹20 業務の「仕様の標準化」にとどまっており、「システムの共同利用」にまで踏み込めていないという課題がある。ほぼ同一の機能を持つアプリケーションの乱立を回避するとともに、経費抑制の面からも、共同利用を進めることが望ましい。なお、地方公共団体の情報システムの標準化に対しては、地方自治の観点から懸念を指摘する声もあるが、地方公共団体が創意工夫を発揮する余地が小さい業務の効率化を図り、独自性を発揮しやすい政策にヒトやカネを集中することは、決して地方自治の考え方に反するものではない。

国民のニーズに沿った地方公共団体の情報システム標準化を進めるためには、少なくとも、周辺市町村によるグループや都道府県主導による標準仕様に準拠したアプリケーションの共同利用を推進すべきである。また、2025 年度中に全ての地方公共団体が情報システムの移行を目指すという目標を達成できるよう、国は、各地方公共団体の取り組み状況を正確に把握し、必要に応じて人材や技術、財政面のサポートを十分に行う必要がある。さらに、将来的には現在統一・標準化の対象となっている20 業務以外への拡大も視野に、取り組みを進めるべきであろう。

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