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リサーチ・アイ No.2022-028

イタリア長期金利にさらなる急騰のリスク ~極右ポピュリスト政権の誕生が引き金に~

2022年07月29日 後藤俊平


イタリアの国債利回りが急上昇。ドイツ国債との利回り差(対独スプレッド)は市場が危険水域とみなす2.5%まで接近。イタリアなど財政基盤が脆弱な南欧諸国では、ECBの利上げによる長期金利の上昇が利払い負担の増加を通じて財政を悪化させるとの懸念が強まり、長期金利がさらに押し上げられたかたち。

南欧諸国の金利急騰を受けて、ECBは7月21日の理事会でTPI(伝達保護措置)を導入。これは、ユーロ圏加盟国の長期金利が「不当で無秩序な市場の動き」により上昇した場合に、ECBがその国の国債を無制限に購入できる措置。対象国は、財政規律の順守など一定の条件を満たす必要。国債の買い支えにより利回りを安定化させることが狙い。

ただし、イタリアでは、今後の政局次第でTPIの発動が困難となる可能性。7月21日にドラギ首相が辞任を表明し、総選挙は今年9月へ前倒しに。世論調査では、極右「イタリアの同胞」が政党支持率でリード。同党は所得税の減税や最低年金受給額の増額といった拡張的な財政政策を主張。仮に、政権交代で財政拡大路線が採られれば、コロナ禍で増大した財政赤字が一段と悪化する可能性。その場合、財政の健全性を基準とするTPIの発動は認められず、国債利回りがさらに上昇する恐れも。イタリアの選挙結果と次期政権の財政運営には要注目。


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