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リサーチ・フォーカス No.2022-023

金融ケイパビリティを強化するための金融教育~豪州の取り組みから得られるわが国への示唆~

2022年07月27日 野村拓也


豪州では金融教育に取り組むにあたり「金融ケイパビリティ」を重視。金融ケイパビリティとは、知識やスキルだけでなく、金融への自信や向き合う姿勢、それらが実際に活用された結果としての金融面の前向きな行動で構成されるものと定義。金融ケイパビリティを強化することで、金融ウェルビーイング(金融面での幸福・充足)の達成と、金融レジリエンス(ショック時における金融面での耐久力)の確保に大きく寄与するとの認識。

豪州における金融ケイパビリティ強化に向けた取り組みとして、具体的には、①産官学がコミュニティを形成のうえ情報連携して、金融ケイパビリティに関するリサーチ、金融機関等による各種施策、地域における金融教育に取り組んでいるほか、②政府として、金融ケイパビリティ強化のためにアプローチするターゲット層(若年層、女性、先住民など)を定めたうえで、若年層とその保護者を最優先することを明確化し、③各省庁が一体となってターゲット別の施策を実行。とりわけ、④国税庁が中心となり、企業型確定拠出年金(スーパーアニュエーション)を強力に推進。

豪州の取り組みから得られるわが国の金融教育への示唆は以下の通り。
-わが国個人は、金融知識を得ても投資行動には必ずしも繋がっていない。豪州のように、金融面での自信を構築して行動変容を促すことまでを包含した金融ケイパビリティの考え方を取り入れ、強化する施策を実行すべき。
-わが国では、金融教育に関連する組織の相互連携が限定的。産官学の連携強化のためのコミュニティの形成や政府における省庁一体となった対応が必要。
-金融教育においては、若年層のみならず、金融リテラシーへの自信が低い女性や若年層の保護者世代もターゲットとして明確化することが重要。
-豪州との制度的な相違点はあるものの、わが国の企業型確定拠出年金は、規模が小さく、残高の約35%が預金に滞留。豪州のように税務当局が企業型確定拠出年金の税務メリットに係る金融教育に取り組み、利用を推奨することも検討すべき。

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