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リサーチ・フォーカス No.2022-021

コロナ禍を経て中小企業財務はどう変化したか~今後求められる政策対応の方向性~

2022年07月12日 谷口栄治


2021年度の中小企業の業績は、経常利益が前年度比+22%増と、売上高(粗利益)の回復を主因にコロナ影響が顕在化する前の2019年度の水準を超過。
業種別にみれば、宿泊・飲食、生活関連・娯楽といった対人関連サービス業で、各種給付金等により営業外利益が増加したことで経常黒字に転換したものの、粗利益は依然として前年度比減益となるなど、コロナ影響が残存。

中小企業向け貸出残高(2022年度末)は、前年比+2%と、伸び率は大きく鈍化したものの、コロナ影響前の2019年度末と比較すれば、+8%と高止まり。なかでも、宿泊・飲食業は2019年度比+26%増と伸び率は突出。
一方、宿泊・飲食業では、上記の各種給付金等を活用し、手許資金を積み増したことで、有利子負債から現預金を差し引いたネット有利子負債は減少。また、債務負担を測る指標である債務残高月商比や債務償還期間は、対人関連サービス業において長期化しているものの、要因をみれば、売上高やキャッシュフローの減少による影響大。

中小企業の経営環境をみれば、コロナ影響に加え、資源価格の高騰等の新たなリスクも台頭。今後の政策対応にあたっては、コロナ禍で中小企業対策費が膨大な水準に達していることを踏まえ、メリハリの効いた対策とすることが大前提。そのうえで以下の支援が必要に。
対人関連サービス業へのサポート:
入国者制限の緩和等を通じた需要喚起策が有効。
企業倒産増加への備え:
経済正常化に伴い支援を縮小する過程で倒産増は必然。リスキリング等のセーフティネットの整備が重要に。
新たなリスクへの対応(価格転嫁):
中小企業の適正な価格転嫁に対する支援。
過剰債務懸念への対応:
「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」等を活用し、債務負担がボトルネックとなっている中小企業の事業再構築を進めていく必要。

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