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JRIレビュー Vol.7,No.102

アメリカ経済見通し

2022年07月27日 井上肇松田健太郎、高野蒼太


アメリカでは、高インフレや積極的な利上げの影響で景気は減速していく見通しである。政策金利は、2022年秋までに中立金利を上回り、2023年序盤には4%に達すると予想している。これにより需要が抑えられる一方、労働力不足や生産・物流面の供給制約が緩和されることが下支えとなり、2023年の成長率は潜在成長率並みの1%台後半を維持する見込みである。

需要項目別では、個人消費は、過剰貯蓄の取り崩しに支えられ、高インフレ下でも増勢を維持する見込みである。住宅投資は、金利上昇の影響を受けながらも、供給制約の緩和や潜在需要に支えられて底堅く推移すると予想する。設備投資は、人手不足や賃金高騰を受けた省力化投資などを中心に底堅い伸びを維持する見込みである。

高インフレは2023年にかけて沈静化に向かう見通しである。財からサービスへの需要シフトや供給制約の緩和により、財価格の上昇ペースは総じて鈍化傾向が続く見込みである。労働需給の緩和に伴い、賃金の騰勢が和らぐことに加え、住宅価格の上昇一服により家賃の伸びが鈍化することで、サービス価格の上昇ペースも2023年には低下する公算が大きい。

もっとも、供給制約が想定通りに緩和されない場合、高インフレが継続することで、金融引き締めが強化され、景気後退に陥るおそれがある。その火種として、①アメリカ国内での労働供給の枯渇、②脱ロシア化に伴う西側諸国の資源不足、③中国のゼロコロナ政策による供給網の混乱、が挙げられる。金融引き締めが続くなかで、株価や不動産価格の下落による逆資産効果が景気悪化を増幅させるリスクにも注意が必要である。


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