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リサーチ・フォーカス No.2022-011

金利上昇でも底堅い米国の住宅投資 ―人口動態の変化やコロナ禍の住み替えが下支え―

2022年06月06日 井上肇


米国では、住宅販売が今春から減少に転じている。FRB が金融政策の正常化を進めるなかで、住宅ローン金利が急上昇しており、購入予定者の取得能力や購入意欲を低下させている。当面、金利上昇による家計の元利返済負担の増加が、住宅販売を抑制する見通しである。

もっとも、金利の上昇で債務返済に窮する家計は限られる見込みであり、2000 年代後 半の住宅バブル期のように債務問題が深刻な景気悪化につながる可能性は低い。この背景として、今回の局面では、量と質の両面で家計のバランスシートが健全である点 が挙げられる。量の面では、家計の債務残高は年間所得の90%ほどに抑えられており、120%近くに達した住宅バブル期よりも低い。質の面でも、信用力が最も高いと区分される階層の住宅ローン組成割合は7 割弱に達している。

住宅販売が弱いわりには、住宅着工は底堅さを維持すると予想される。その理由として、①住宅在庫が歴史的な低水準に落ち込んでおり、在庫を復元するための住宅建設が続く可能性が高いこと、②米国の人口の多くを占める「ミレニアル世代」が、本格的な世帯形成期に入るなど、人口動態の面からみた潜在需要が大きいこと、③在宅勤務の普及などで郊外への移住を検討する家計は引き続き多く、コロナ禍で生じた住み替え需要が根強いことが挙げられる。今後の住宅市場の動向をみるうえで、住宅ローン金利の動きだけでなく、中長期的な住宅需要のトレンドも重要なポイントとなる。


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