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RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.22,No.85

BCG(バイオ・循環型・グリーン)経済を推進するタイ

2022年05月11日 熊谷章太郎


タイは、「BCG(バイオ・循環型・グリーン)経済」を今後の経済・社会開発の「国家アジェンダ(重要テーマ)」に掲げるなど、環境志向を強めている。そのため、BCG経済の概要、関連政策、推進上の課題などを把握することは、今後のタイ経済や政策を展望するうえで重要である。

「B:バイオ経済」とは、バイオマス(生物資源)やバイオテクノロジー(生物工学)を活用した財の生産やその取引を含む幅広い経済活動である。タイにおいてはBCG経済の中で最大のシェアを占めており、付加価値の高い農林水産物の生産やそれを用いた食品製造、バイオ燃料やバイオプラスチックの生産、医薬品の開発、グリーンツーリズムなどが重点産業に位置付けられている。政府は、バイオ経済を拡大することで、「C:循環型経済」および「G:グリーン経済」を促進するとともに、地域間の所得格差や産業間の生産性格差を是正することを目指している。これに加えて、再生可能エネルギーの導入、プラスチックや金属の適切な処理やリサイクルの推進、環境対応車や省エネ家電の普及などにより循環型・グリーン経済を推進しようとしている。BCG経済の拡大は、GHG(温室効果ガス)の排出量の削減とともに金属鉱物やエネルギーの自給率の引き上げを通じて経済安全保障上のリスクを低下させる。

BCG関連産業への新規投資額、再生可能エネルギーによる発電シェア、環境対応車の登録台数などは近年のBCG経済の拡大を示している。政府は外資誘致を通じてこの流れを加速させようとしているが、研究開発事業や北部・東北部へのスマート農業など、外資誘致が困難な分野がある。また、環境負荷の少ない生産・消費体制への転換はコスト上昇を通じて輸出競争力の低下を招きかねない。そのため、景気を一時的に悪化させかねない厳格な環境規制の導入に対しては、慎重な姿勢で臨むと見込まれる。

BCG経済は推進上の課題を抱えているものの、環境志向の強まりは不可逆的な流れであり、関連政策の大枠は政権交代が起きても変わらないと考えられる。そのため、在タイ日系企業はBCG経済への対応を進めるとともに、各国の環境規制の動向を踏まえながらタイを輸出拠点としてどのように活用するかを再検討する必要がある。わが国政府は、在タイ日系企業がタイのBCG関連事業を他のアジア新興国に展開することを支援することで、アジア全体の経済成長と環境保全の両立につなげていくべきである。
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