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リサーチ・フォーカス No.2022-004

米国におけるPOS ファイナンスの拡大と わが国に求められる信用情報機関の高度化

2022年04月28日 野村拓也


近年、米国では、商品・サービスの購入時に借入申し込みや審査などの手続きを行い、購入費用を融資する「POS(Point of Sale)ファイナンス」が急拡大しており、コンシューマーファイナンス市場を牽引。

POS ファイナンス拡大の背景として、①借り手サイドでは、オンラインで借入を行うことに抵抗感を感じない若年層の台頭、②貸し手サイドでは、新興のフィンテック企業に加えて、大手金融機関による取り組み強化を指摘可能。とりわけ、後者については、大手地銀Citizens が、小売店等とのパートナーシップ契約を積極的に拡大しているほか、Goldman Sachs も、リテール業務を拡大する一貫として、2021 年9月にPOS ファイナンス企業GreenSky を買収。

また、米国では、信用情報機関が高度なサービスを提供し、オンライン上での貸出が容易になったことも、POS ファイナンスの拡大を後押し。具体的には以下の3点。

①借入手続きの高速化:大手信用情報機関Experian は、金融機関と連携し、借り手が申し込みにあたり入力すべき個人情報を、データベースからピックアップして自動入力するサービスを提供。これにより借り手の手入力作業を76%削減。

②回収事務の効率化:大手信用情報機関TransUnion は、金融機関が延滞している借り手に返済を催促する際の最適な連絡先を、データベースに登録されている借り手情報から選別して示すサービスを提供。

③スコアリングモデルの精緻化:公共料金などの支払い関連情報など、与信関連情報以外の「オルタナティブ・データ」を組み込み、クレジットカードの取引履歴が限られる若年層など、従来は対象外であった借り手にも信用スコアを付与可能に。

わが国でも、デジタルネイティブな若年層が増えていることから、POS ファイナンスが普及する余地はあるものの、そのために信用情報機関のサービスの高度化は必要不可欠。信用情報機関が、照会対応の24 時間化など、既存制度の範囲内で可能な施策を進める一方、コンシューマーファイナンス業界と政府・当局は、「指定信用情報機関」制度の見直しなど、競争促進や新規業務にチャレンジするインセンティブの向上に資する取り組みを通じ、信用情報機関のビジネスモデル改革を後押ししていくことが肝要。


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