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リサーチ・フォーカス No.2022-003

金融政策修正で地銀の収益力は回復するか

2022年04月28日 大嶋秀雄


黒田総裁が就任以降、日銀の金融政策は大規模化・複雑化し、近年は副作用を指摘する声が増加。マイナス金利政策導入以降は、銀行セクターで資金運用利益が大幅減少。とりわけ地銀への悪影響が深刻化。

こうしたなか、足元では、海外における物価上昇の国内への波及や円安の進行、海外中銀の金融正常化などを背景に、日銀の政策修正観測が浮上。金融市場では、1 年先の短期政策金利見通しがマイナス金利政策導入以降初めてプラス圏に上昇するなど、利上げ(マイナス金利政策解除)を織り込む動き。

ただし、日銀当座預金残高が500 兆円を超えるなか、大幅な利上げは日銀の金利負担を急増させるなど財務影響が大きいため、短期的には、政策修正がなされたとしても、長期金利目標の調整やマイナス金利政策の解除などにとどまる可能性大。

日銀の政策修正による地銀の資金運用利益への影響を試算したところ、マイナス金利政策の解除にとどまる場合でも、預貸金からの利益が約1,200 億円改善するなど一定の押し上げ効果あり。もっとも、低金利環境が長期化するなかで貸出金利の低金利シフトが進んでいることから、政策修正による回復幅は、マイナス金利政策導入以降に減少した資金運用利益の約4割程度。

現在、地銀は、新たな収益源の獲得に動いているが早期収益化は困難であるため、当面、地銀は預貸ビジネスを収益の基盤に据えて、収益悪化に歯止めをかけ、強化していく必要。具体的な施策としては、以下の2点。
①適正な信用リスク評価
幅広い情報を活用した多面的な信用リスク分析やフォワードルッキング引当の導入により、適正に信用リスクを評価。
②適正なリターンの設定
過度な競争を回避し、リスクに応じたリターンを設定するなど、収益管理の徹底で収益悪化に歯止めをかけたうえで、中長期的に、新ビジネスとのシナジー効果を通じて、預貸ビジネスの付加価値や収益性を向上。


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