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幼児教育・保育の無償化の効果等の把握に関する調査研究

2022年04月14日 福田隆士、増田のぞみ、今川成樹、小幡京加、牛島康晴


※本調査研究は、令和3年度子ども・子育て支援調査研究事業(内閣府)として実施したものです。

1.目的
 幼児教育・保育の無償化の実施から1年以上経過し、無償化の政策効果について把握することが求められている。本調査研究では、アンケート調査等を実施し、無償化の効果や課題の分析を行い、今後の検討における基礎資料を整備することを目的とした。

2.調査の方法・進め方
 本調査研究では以下の内容を実施した。
(1)検討委員会の設置・運営
 ・有識者、実務者、自治体職員からなる委員会を設置・運営(3回開催)
(2)保護者向けアンケート調査
 ・全国の20~49歳の無償化の対象である子を持つ保護者に対してインターネットアンケート調査を実施(ウェブ調査会社の登録モニターを対象)
 ・令和4年1月31日~2月7日の期間で実施、有効回収数3,281件
 ・調査項目は基礎情報/保育所等の利用への影響/出生意欲への影響 等
(3)施設向けアンケート調査
 ・全国の幼稚園、認可保育所、認定こども園、認可外保育施設等、無償化の対象となっているすべての施設を対象に自治体経由で電子メールにて調査票を配布、ウェブ上で回収
 ・令和4年2月9日~3月4日の期間で実施、有効回収数17,248件
 ・調査項目は基礎情報/教育・保育等への影響/事務負担の影響/保護者の変化 等
(4)幼児教育・保育の無償化等の施策に係る国際調査
 ・諸外国の幼児教育・保育に関する施策動向等の調査・整理を実施(米国等8カ国)
(5)無償化の効果および課題に係る検討
 ・各調査結果を踏まえ、無償化の政策効果および今後に向けた課題について検討を実施
(6)報告取りまとめ
 ・調査、検討結果について報告書として取りまとめ実施

3.主な調査結果
【保護者向けアンケート調査】
 保護者向けアンケート調査の主な結果は以下のとおり。
 ●幼児教育・保育の無償化について、肯定的な評価をしている保護者は8割近くとなっている。無償化以前から保育施設等を利用している保護者ほど、無償化を肯定的に評価。
 ●8割近くが無償化により「保育施設等に通いやすくなった」としており、また、無償化により「早期に通わせることとした」保護者も2割程度存在することから、無償化が施設利用の動機の一つとなっているとみられる。
 ●延長保育・預かり保育・休日保育等について、4割近くが「利用しやすくなった」と感じている。
 ●「家計に余裕が出た」という保護者は6割強であり、一定の家計への効果がみられる。
 ●「予定の子どもの数、理想の子どもの数が増えた」という保護者も2割強みられ、新たに子を設けたいという意識に無償化が影響している可能性が示唆される。

【施設向けアンケート調査】
 施設向けアンケート調査の主な結果は以下のとおり。
 ●無償化については、施設の4割強が肯定的な評価をしている。
 ●「以前と比較して延長保育、預かり保育、休日保育等の基本サービス以外を利用する方が増えた」、「これまで利用がみられなかった方の利用が増えた」と認識している施設も一定数存在している。
 ●事務負担については増えたという認識が全体に大きい。
 ●7割程度の施設において、無償化が「保護者・家庭の負担軽減につながっている」と考えている。

4.まとめ
 調査結果等を踏まえ、以下のとおり考察・課題を整理した。
<考察>
 ●幼児教育・保育の無償化はおおむね肯定的に受け入れられている
 ●無償化は幼児教育・保育を受ける機会の拡充につながっている
 ●教育・保育の質の向上等に一部貢献できている
 ●少子化対策としての効果も一部ではあるが、その兆しがみられる
 ●保護者の負担軽減につながっている
 ●一部の施設の運営に好影響を及ぼしている面がある

<今後検討を要する課題>
 ●施設の事務負担の軽減
 ●幼児教育・保育の質を優先すべきという声への対応

※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】

本件に関するお問い合わせ
 リサーチ・コンサルティング部門
 シニアマネジャー 福田隆士
 TEL:080-2302-7799  E-mail:fukuda.t@jri.co.jp
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