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ビューポイント No.2022-001

ウクライナ危機後・脱ディスインフレ時代の経済政策運営ーエネルギー転換、賃上げ成長、歳出・歳入一体改革に踏み込め

2022年04月14日 山田久


コロナ・パンデミックを経て米中対立は先鋭化し、ロシアのウクライナ侵攻により、世界が市場経済・民主主義で一体化していく‘冷戦後’は終焉した。このポスト‘冷戦後’の世界は‘冷戦時’への回帰ではない。西側はロシアの切り離しを進める一方、世界経済に深く組み込まれた中国との関係を断ち切ることは極めて困難である。西側が制裁を強めても中国の支援でプーチン体制は存続し、西側のロシア排除の構図は長引くことが予想される。

今後の世界の在り方にとって脱炭素化の流れも最重要要素である。その取り組みは欧州主導で進み、ESG投資の流れも後押ししている。ロシアの西側世界からの締め出しで、当面化石燃料の使用が増えるものの、2050年カーボンニュートラルという長期目標は不変であり、事業者も資金提供者も化石燃料開発には慎重姿勢を継続する。パンデミックが加速したもう一つの潮流として、デジタル化も見落とせない。人々の生活様式や事業モデル、産業構造の大変革をもたらすのみならず、政治体制にも大きなインパクトを与えている。

「ポスト‘冷戦後’・脱ディスインフレ時代」の世界経済の特徴としては、①安全保障の制約が経済活動の自由に優先し、グローバル・サプライチェーンが複雑に再編されていく、②脱炭素化のもとで西側諸国のロシア排除が継続されるなか、資源・エネルギー価格の高位不安定化が常態化する、③技術革新の加速によりDX・GX(グリーントランスフォーメーション)が進展し、産業構造が大きく変貌を遂げていく、といった3点が指摘できる。

世界の在り方が大きく変わるなか、わが国では情勢変化への対応が大幅に遅れている。エネルギー源の9割近くを海外に依存する構造が存置される限り、円安・油価高騰が続けば経常収支が悪化する。問題はそれが、世界的に脱ディスインフレ時代に移行したにもかかわらず、わが国のみがデフレの長期化を前提にした経済政策運営を継続している状況下で生じることである。内外金利差の拡大を背景に円安が進み、必需品分野での物価上昇・経常収支悪化が加速する恐れがある。

いずれかの段階で金融政策の正常化に動くことが求められるが、その際に大きな障害になるのが、未曽有の額に積み上がった国債残高と日本銀行の財務状況の悪化である。政府が日銀の財務の健全性確保にコミットし、緩やかな金利上昇を受け入れていく準備が求められる。もっともそれは国家財政が一層悪化することを意味しており、財政再建への取り組みは焦眉の急の課題になっている。財政再建のための負担増に国民が耐えるには、賃金増加を伴う経済成長の実現が求められる。

いま政府に求められているのは「ポスト‘冷戦後’・脱ディスインフレ時代」を直視した骨太の政策を打ち出すことである。①エネルギー自給率向上に向けた需給両面の構造改革ビジョンの提示、②持続的な賃上げを可能にする産業・雇用総合政策パッケージの提示、③歳出・歳入構造の一体的な改革を通じた財政健全化の道筋の提示、がその3本柱となる。

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