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リサーチ・フォーカス No.2021-054

新規株式公開(IPO)制度改革とスタートアップの創出・育成に向けた課題

2022年03月15日 谷口栄治


わが国では、スタートアップの企業数が少なく、規模も小さいことが課題であり、イノベーション促進に向けて、スタートアップ振興は重要な政策課題のひとつ。その対応の一環として、「成長戦略実行計画」等では、スタートアップの資金調達環境を整備する必要性を指摘。

とりわけ、スタートアップが新規株式公開(IPO)をする際、公開価格がIPO後の初値を大きく下回る水準に設定され、資金調達額が抑制されていることが問題視されており、公正取引委員会や日本証券業協会(日証協)では、現行の価格設定プロセスの問題点と対応策を検討。具体的に、①公開価格等に対する発行企業の納得感の醸成(算出根拠の説明等)、②公正な価格発見機能の向上(当初条件を上回る価格設定の許容)、③IPOプロセスの期間短縮、といった施策に取り組む見通し。

もっとも、イノベーションに資するスタートアップの創出・育成に向けては、挙げられたIPO制度改革だけでは不十分。スタートアップの規模拡大、企業価値向上に向けて、以下の取り組みを進めていく必要あり。

① スタートアップに対する資金提供の拡充 ~ 非上場株式市場の整備
日証協等では、米国の制度を踏まえ、一定の資産や資格要件を満たすプロ投資家を対象に、非上場株式等の募集を行うことができるようにすべきと提言。流通市場の整備にも取り組み、非上場株式市場の活性化に努めていくことが肝要。

② 出口戦略の多様化 ~ M&Aの促進
スタートアップに対するM&A を促進するため、国内の事業会社等がスタートアップの株式を取得する場合に一定額を減税する「オープンイノベーション促進税制 」の利用促進や、取引実態を踏まえた要件緩和等によって、M&A を後押しすることが有効。

③ 東証グロース市場における上場維持基準の厳格化
上場後の成長を促進するため、東証グロース市場で新たに定められた上場維持基準に早期に移行していく必要あり。


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