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RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.22,No.84

急速に拡大する中国への証券投資-中国本土証券市場の戦略的開放とその落とし穴

2022年02月14日 野木森稔


世界の投資家が中国本土で発行された債券・株式などの証券(以下、中国本土証券)への投資を急速に拡大している。世界的な過剰流動性は中国本土証券投資の増加を説明する一つの要因であるが、ストック/ボンド・コネクトなど中国当局による資本移動規制緩和を受け、海外投資家が資産運用において中国本土証券を積極的に採用し始めたことがそれ以上に寄与している。

中国本土証券に積極的に投資しているのは、外貨準備やベンチマーク指数に連動する資産を運用する各国の当局や機関投資家である。背景には、中国当局による強い働きかけにより、IMFが中国人民元をSDRに採用したこと、さらに指数算定会社が運用ベンチマーク指数に中国本土証券の採用を決定したことがある。これに伴う投資はヘッジファンドなどの短期的な投機とは異なり、中国は戦略的な市場開放の下で安定した長期資金の獲得を推し進めているといえる。

しかし、中国の市場開放は依然として限定的なものにとどまる。今後、投資家の期待に応じ、完全な市場開放に動く可能性は低い。①リスク管理に重要な先物・デリバティブ市場の開放が進まないため、中国本土証券がベンチマーク指数に追加的に採用される見込みは低いこと、②中国当局が市場の不安定化を恐れ、ヘッジファンドを含む多様な海外投資家の参入を歓迎する可能性も低いこと、③香港の国際金融都市としての機能を十分に生かすことが出来ていないことから、中国への資本流入は頭打ちになると予想される。

さらに、これから①アメリカの金融政策正常化、②米中対立の再燃、③ESG投資の推進、といった外部環境の変化が予想される。いずれも海外投資家のマネーが中国本土証券へ向かうのを妨げる要因となろう。これまでの証券投資を通じた資本流入が一転、流出することになれば、短期的な中国景気への影響はもちろん、中長期的な経済発展にも悪影響をもたらそう。


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