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リサーチ・アイ No.2021-063

天然ガス価格の高騰で高まるユーロ圏のインフレ圧力 ~財への価格転嫁と賃金の物価スライドが増幅~

2022年02月03日 栂野裕貴


欧州では、天然ガス価格が高騰。これには、脱炭素への取り組みや地政学リスクの高まりが背景に。昨秋、再生可能エネルギーによる発電不足などから、天然ガスへの代替需要が急増。昨年末以降も、ウクライナ情勢の緊迫化でロシアからの供給減が意識され、天然ガス価格は上昇。市場参加者は2022年を通じて価格の高止まりを予想。

天然ガス価格の高騰でユーロ圏の光熱費が大幅上昇。光熱費の上昇は足元のインフレ率を1%強押し上げ。こうした動きは今後も継続する見込み。先物価格を基に試算すると、光熱費は2022年通年のインフレ率を+0.7%ポイント押し上げる計算。さらに、エネルギー高が光熱費だけでなく、次の2つの経路でコア物価を押し上げ、基調的なインフレ圧力を高める可能性。

第1に、コア財への価格転嫁。製造業は投入コストの上昇を販売価格に転嫁することを辞さない姿勢。こうした姿勢が維持されれば、エネルギーコストの価格転嫁が進むことで、コア財の物価上昇率は一段と高まる可能性。

第2に、賃上げ加速。欧州では賃金の物価スライド制が普及しており、雇用者の4割が対象に。物価スライドの対象となる雇用者の約半分でエネルギー高が賃金上昇に寄与。足元のエネルギー高が賃金に波及し、それが物価を押し上げるといった、スパイラル的な物価上昇の恐れあり。


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