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リサーチ・フォーカス No.2021-050

新興デジタルバンクの現状と今後の課題 ~ 成功モデルとして注目されるブラジルNubank ~

2022年02月02日 谷口栄治


近年、世界的に、様々な金融取引がオンラインで完結する新興系の銀行(デジタルバンク)が台頭。利便性、商品性、コスト面での競争優位をテコに、若年層をはじめとするデジタルネイティブ世代や、これまで銀行取引を行うことができなかったUnbanked 層を取り込む形で、顧客基盤を拡大。

なかでもブラジルのNubankは、金融包摂が課題となっている同国において、若年層やUnbanked層に対して、便利で安価な金融サービスを提供することで、顧客数を約4,800 万人にまで伸ばすなど、世界屈指のデジタルバンクに成長。昨年12 月に上場し、時価総額で南米最大の金融機関に。

一方、Nubankは、他のデジタルバンクと同様、システム開発コストやマーケティングコスト等がかさむなか、決済サービス中心のビジネスモデルから脱却できておらず、最終損益では赤字が継続。今後は、預貸ビジネスの拡大等を通じた収益化(マネタイズ)が課題。

こうしたデジタルバンクの成長やプレゼンス拡大を踏まえ、わが国金融機関や政府・当局が今後検討すべき課題として、以下の3点を指摘可能。
- 新興国では、依然として金融包摂の余地は大きく、ビジネス機会も相応に存在。わが国金融機関にとっても、新興国のFinTech企業への出資は、金融包摂の実現を自らの成長につなげる方策として有効な選択肢。
- デジタルバンクは、預金を集めて決済サービスを提供するだけでは、収益化が困難。与信管理やリスク管理態勢を整備しながら預貸ビジネスを拡大する等により、持続可能なビジネスモデルを構築することは、わが国を含め、デジタルバンクの共通の課題。
- デジタルバンクをはじめとする新興金融機関においては、金融・決済システムの一翼を担う存在としての役割が重要に。政府・当局は、デジタルバンク等の経営が金融システムに与える影響を注視しつつ、既存金融機関とのイコールフッティングにも留意した規制・監督を行うことが肝要。


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