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リサーチ・フォーカス No.2021-048

多様化するサステナブルファイナンスにおける課題

2022年01月27日 野村拓也


SDGs やESG、脱炭素への関心の高まりを背景に、持続可能性に係る要素を資金使途や取引条件に組み込んだサステナブルファイナンスの市場規模が世界的に拡大。関連する債券やローンの残高は、2021 年末時点で約1 兆6,000 億ドルと、前年末と比較して2倍以上に増加し、ファイナンス形態も多様化。

近年拡大が著しいサステナブルファイナンスの新たな形態は以下の通り。
-債券やローンのデット形態では、①福祉、医療、貧困、教育といった社会問題の解決に資する事業を資金使途とするソーシャルボンド、②社会の持続可能性に関するKPI とその目標を定め、達成した場合に好条件で取引が可能になるサステナビリティ・リンク・ボンド/ローン(SLB/SLL)、③投資不適格の調達主体が発行し、かつ、グリーンボンド等に該当するハイイールド債、の発行・実行額が急増。
-また、デリバティブ関連では、①ESG 関連の株式指数に係る先物やオプション、②SLB/SLL と同様、持続可能性に関するKPI(重要業績評価指標)と目標を定めるサステナビリティ・リンク・デリバティブ(SLD)の取引高が増加。
-グリーンローン等を原資産とする証券化商品も増加の兆候あり。

世界的なサステナブルファイナンスの多様化の流れは、今後、わが国にも波及。とりわけ、わが国では、①ソーシャルボンド、②SLB/SLL、③ESG 関連の株式指数のデリバティブ取引が普及していく可能性大。

今後は、投資家のグリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)懸念を払拭するためにも、サステナブルファイナンスが、環境問題や社会的課題に対してポジティブなインパクトを与えていることを実証する仕組みが必要。そのためには、まず、ガイドラインの設定、認証制度の導入、開示規制の強化を着実に進めることが重要。

ファイナンス形態の多様化は、投資家層の厚みをもたらし、気候変動対応に必要とされる多額の資金をファイナンスするうえで重要であるほか、わが国が目指す「グリーン国際金融センター」へのステップアップとなるため、官民が協力して実現していくことが肝要。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)


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