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リサーチ・フォーカス No.2021-047

エネルギー構造転換で所得流出に歯止めを ―脱炭素への取り組みで交易条件は大幅な改善余地―

2022年01月24日 西岡慎一、小澤智彦


資源価格の高騰で輸入物価が大幅に上昇しており、わが国の交易条件が悪化している。交易条件は貿易取引による利益率を表しており、これが悪化すると所得が海外に流出する。わが国の交易条件の悪化は世界的にみても大きく、これにはエネルギー資源の輸入依存度が世界最大の部類に入ることが影響している。

交易条件の悪化で、2021年度に約8兆円の所得が海外に流出すると予想される。これまでに多額の所得が流出しており、2000年以降の経済成長で増加した所得のうち約4割が交易条件の悪化で失われている。交易条件の悪化は、企業収益の減少だけではなく、家計の所得も押し下げる。実質賃金は、2000年以降、交易条件の悪化で約10%下押しされ、労働生産性の向上分がほぼ相殺されている。

所得の海外流出を防ぐためには、エネルギー構造の転換が不可欠である。各国の金融当局が参加する「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」の試算によれば、2050年までの脱炭素の実現に向けた取り組みを進めることで、鉱物性燃料の利用が現在の15%程度まで減少し、交易条件が改善する。この交易条件の改善は所得の増加額を4割弱押し上げる計算になる。

現在、世界の脱炭素への急進的な取り組みが資源高を招き、わが国の交易条件を悪化させている面がある。しかし、中長期的にみれば、脱炭素の推進は、生産性の向上や気候変動による損失の減少だけでなく、交易条件の改善をも通じて所得を増加させる効果がある。その意味で、エネルギー構造の転換は、気候変動リスクの抑制や経済安全保障だけでなく、国全体の所得を増やすという純粋な経済的観点からも重要である。


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