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リサーチ・フォーカス No.2021-045

中小企業の脱炭素のカギを握る銀行セクター ~多面的支援を行う仕組みづくりが急務~

2021年12月27日 大嶋秀雄


世界的に脱炭素に向けた動きが加速するなか、大手企業や金融機関などでは、「間接排出を含めた温室効果ガス(GHG)排出量」の削減を目指す動きが拡大しており、中小企業の脱炭素推進を求める声が増加。

もっとも、中小企業の多くは自社のGHG排出量すら把握できていない状況。その背景には、気候変動が経営に及ぼす影響の理解不足、製造工程の見直し等のための人員・ノウハウ不足、設備投資資金の不足などが指摘可能。

足元では、これらの課題を解決すべく、国内外で様々な取り組みが進展。とりわけ、「中小企業気候ハブ」は、欧州を中心に国際機関や政府、大学、NGO、スタートアップ、大企業が連携した注目される中小企業支援の枠組み。また、サプライチェーン中核企業や金融機関等によるサポートも始動。

国内外の事例を踏まえつつ、わが国の中小企業の脱炭素推進に向けた具体的施策を考えれば、以下の3点の組み合わせが有効。
①銀行セクター中心の企業アライアンス形成:多くの中小企業へアプローチ可能な銀行を中心に、サプライチェーン中核企業や脱炭素技術を持つ企業などでアライアンスを形成し、ワンストップで支援可能な仕組みを構築。
②地方銀行の脱炭素支援機能の強化:企業アライアンスを機能させるうえでは地方銀行の役割が重要であるため、政府や業界団体、先行する銀行などとのノウハウ共有等で、地方銀行の脱炭素支援機能を強化。
③政府の後押し:企業アライアンス形成の旗振り、規制・インセンティブ等による政策面からのビジネス影響の見える化、信用力の低い中小企業への脱炭素資金支援のための公的保証制度の整備等、政府の後押しが重要。

中小企業の脱炭素の遅れは、国としての目標達成を危うくするのみならず、わが国の産業競争力や実体経済にも悪影響を及ぼす恐れ。官民が連携して支援体制を構築し、中小企業の脱炭素の取り組みを加速させることが肝要。成功すれば、わが国がモデルケースとなって世界全体の脱炭素にも貢献可能。


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