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JRIレビュー 2022 Vol.1, No.96

日本経済見通し

2021年12月23日 村瀬拓人


日本経済は一進一退の状況が続いており、先行きを見通すうえでは、①自動車生産の回復時期、②サービス消費の回復力、③円安・資源高の影響、④経済対策の効果、の4点がカギを握る。

自動車生産は、半導体をはじめとした部品不足が解消に向かっており、2022年入り後、おおむね通常稼働に近い状態まで生産水準を回復する見込みである。

サービス消費も、緊急事態宣言の解除後は持ち直しに転じている。先行きは、新型コロナの感染状況に左右される面が大きいものの、医療体制の拡充などにより活動制限の再強化を回避できれば、消費活動は正常化へ向かう可能性が高い。

円安の悪影響は限定的であるものの、資源高を主因にGDP比1%近い所得流出が生じる見通しである。企業が価格転嫁に慎重ななか、コスト増の大半は企業が負担する形になるとみられ、収益の下振れが避けられない。

政府の経済対策は、補正後に膨らんだ前年度予算からの大幅な歳出減を避けるための措置が中心であり、景気押し上げ効果は限定的にとどまる見通しである。給付金や消費刺激策も追加的な需要創出にはつながらない可能性が高い。

以上を踏まえると、当面の日本経済は、自動車生産とサービス消費の回復を背景に、高めの成長が実現すると予想される。ただし、資源価格の高止まりが景気回復の重石となるほか、経済対策の需要創出効果も限定的なため、実質GDPがコロナ前のピーク水準を回復するのは、2022年7〜9月期まで時間を要する見通しである。

ポスト・コロナの日本経済の課題は、デジタル化や脱炭素関連の投資の促進に加え、持続的な賃上げの実現である。そのためには、①大企業の利益の分配、②中小企業の付加価値の創出、③企業の負担を減らす社会保障改革、が必要である。


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