リサーチ・アイ No.2021-056 2021~2023年度改訂見通し ― 2021年度下期は景気回復が明確化 ― 2021年12月08日 村瀬拓人7~9月期の2次QEは、実質GDP成長率が前期比年率▲3.6%(前期比▲0.9%)と、1次QE(同▲3.0%、同▲0.8%)から下方修正。長期化するコロナ禍の影響やサプライチェーンの停滞などを背景に、日本経済が低迷している姿が鮮明に。もっとも、足元では、新型コロナの感染者数の減少と活動制限の緩和を背景に小売・娯楽施設や飲食店の利用者が増加するなど、消費活動に持ち直しの兆し。新たな変異株(オミクロン株)の感染が世界的に拡大しており、新型コロナの感染状況の先行きは依然として不透明感が強いものの、3度目のワクチン接種や医療体制の拡充などにより活動制限の再強化を回避できれば、個人消費の回復が明確化する見通し。自動車の供給制約も解消に向かうことで、当面は高めの成長が実現する見込み。2022年度に入ると、自動車生産の持ち直しが一巡し、消費活動もほぼ正常化することで、景気回復ペースは徐々に巡航速度に回帰。このため、四半期ベースの成長率は、大幅に鈍化する見通し。政府は、経済対策の財源の裏付けとなる2021年度の補正予算案を国会に提出。補正予算の執行は、家計・企業のマインド改善などを通じ、経済活動の正常化に向けた動きを後押しするとみられるものの、景気を大きく上振れさせるような新規の需要創出にはつながらない見込み。経済効果が大きい公共事業は、補正後に膨らんだ前年度予算からの大幅な減少を避けるための措置が中心。子育て世帯に対する給付金やGoToキャンペーンの再開といった家計支援策や消費刺激策も、自粛ムードの緩和効果を上回る需要創出は期待薄。2021、22年度の成長率はそれぞれ+2.9%、+3.2%と、コロナ禍からの経済活動の回復を背景に2年連続で高めのプラス成長となった後、2023年度は+1.1%と、経済活動が正常化することで成長ペースは大きく鈍化する見通し。GDPがコロナ前のピーク水準を回復するのは、2022年7~9月期となる見込み。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)