リサーチ・フォーカス No.2025-057 国際観光旅客税引き上げに伴う留意点 2026年01月20日 高坂晶子与党の 2026 年度税制改正大綱は、国際観光旅客税について、来る 7 月 1 日を期して税率を現行の 1,000 円から 3,000 円に引き上げるよう求めている。背景には、活発化するインバウンド観光がもたらす弊害、あるいは日本人の海外旅行離れ等の課題を解決する財源が必要となった事情がある。2003 年の観光立国宣言以来、政府はインバウンド誘致を軸に観光政策に注力してきた。特に安倍晋三政権は、観光を経済活性化の柱、地域創生の切り札として振興策を拡充するとともに新たな財源の確保に取り組み、国際観光旅客税を創設した。2019 年 1 月に導入された国際観光旅客税は、外国人と日本人とを問わず、わが国の出国時に課される国税である。観光、ビジネス、医療、留学といった幅広い出国事由が対象となり、航空機・船舶の運航事業者がチケット代金に上乗せして徴収したうえ、税関・税務署に納付する仕組みである。国際観光旅客税による野放図な歳出拡大を避け、また、適切な使い道を担保するため、税の使途と活用時の要件も法律に明記されている。使途については、快適な旅行環境の整備、観光情報の入手の容易化、観光体験・滞在の満足度向上の 3 分野、活用時の要件については、納税者の納得感を確保する、投入先事業の先進性と費用対効果に留意する、政策課題の解決に寄与する、の 3 点である。2026 年度税制改正大綱は、国際観光旅客税の引き上げを求める理由として、オーバーツーリズム対策や地方への誘客促進、日本人の海外旅行支援といった新たな財政需要への対応を挙げている。今後はこうした内容を踏まえ、国会で関連法の審議が行われる予定であるが、以下のポイントについて検討を深めることが重要である。まず、財政規律の担保のため、税制改正大綱があげる新たな使途についても法定化を図るべきである。わが国観光を取り巻く環境変化を踏まえ、従来の 3 分野も含めた総体的な使途の見直しが望まれる。次に、税収の大幅な増加に見合った政策立案・執行体制の拡充である。中央省庁・自治体はもとより、観光地における関連組織の体制整備が課題となる。最後に、観光振興による地方創生に向けて税収の分配を求める地方自治体への対応である。現行の国の事業ベースでなく、自治体にとって自由度の高い交付金としての分配も一案となろう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)