株式会社日本総合研究所（本社： 東京都品川区、代表取締役社長： 谷崎勝教、以下「日本総研」）は、持続可能で質の高い医療提供体制を構築することなどを目的に、医薬・医療機器の業界団体や医療・IT関連企業、医師が所属する学会、医療や経済の専門家、そして患者団体などと共に、「健康・医療政策コンソーシアム」（以下「本コンソーシアム」）を設立しました。
　本コンソーシアムでは、さまざまな立場に属するステークホルダーが医療に関する各課題について一体的な議論を進めることで、価値に基づく医療の在り方、医療財政の構造転換、医療提供体制の一層の充実、そして健康・医療産業の成長産業化について実現可能な提言を行い、迅速な社会実装を推進します。

■背景
　60年以上のもの間、国民の健康を支えてきた国民皆保険制度は、少子高齢化が急速に進む中、国民の支払う公的保険料や窓口負担だけでは賄い切れない状態が長く続いています。
　一方、日本の医療提供体制は高いレベルで整備されていると考えられてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、病床不足のほか、遠隔診療や医療データおよび医療従事者の連携体制が未整備であること、そして国の安全保障にも直結する創薬力の弱さなどが顕在化しました。
　これまで政府では、高齢化によって増加する医療費を確保するために、医療の高度化などにかける予算を抑制する方向で調整してきましたが、今後は医療財政が持続可能となるよう構造転換を図りながら、国民の健康増進と日本の経済成長に貢献できる、持続可能で質の高い医療提供体制の構築を進めていくことが重要です。

■活動概要
　こうした改革を推進するには、医療に関わるさまざまなステークホルダーが集まり、中長期的に議論を進めることが必要です。そこで、日本総研では、国などの会議で議論が進むことを期待するだけではなく、国民視点で解決すべきと考える問いを設定し、継続して議論を行える場として、本コンソーシアムを設立しました。
　本コンソーシアムには、医薬・医療機器の業界団体や医療・IT関連企業、医師が所属する学会、医療や経済の専門家、そして患者団体など、さまざまな立場に属するステークホルダーが参加します。健康・医療、デジタルヘルス、社会保障に関する政策について、ビジネスや経済・財政政策、そして実際の現場からの視点まで含めた一体的な議論を進めることで、実現可能な提言を行い、迅速な社会実装を推進します。さらに、国家レベルの問題だけでなく、地方自治体で発生している具体的な問題についても議論を深め、都市部と過疎地の違いなども踏まえながら解決に貢献していく予定です。
　本コンソーシアムでは、主に以下について中長期的に検討します。
●国民の生涯の健康を地域で守るための医療提供体制として、総合診療専門医や家庭医をはじめとした多職種が連携してサービスを提供する「プライマリ・ケアチーム体制」の構築を検討する。地域の中小病院の役割や診療報酬内容の見直しも含めた議論も行う。
●国で全体最適化されたセキュアなデジタルヘルス・インフラの下、医療自体や患者に応じた個別化医療の価値を評価し可視化することで、医療給付費をより効果的に活用する仕組みを検討する。リアルワールドデータによる解析を担う第三者機関の構築についても議論を行う。
●既存の医療技術や薬価などの価値を再評価し、公的医療保険の対象に今後も含めるか見直すことなどについて検討する。創薬・開発革新に寄与する成長投資予算も含めた医療給付予算案の編成や、租税・公的保険料・窓口負担の組み合わせでの財源確保オプションを提示する制度の構築についても議論を行う。
●日本の経済成長に貢献できる、健康・医療産業の成長産業化について検討する。新しい薬やワクチン、医療機器などの革新的な医療に対する評価制度の整備についても議論を行う。

■本コンソーシアムへのご入会について
　本コンソーシアムへのご入会を希望・検討される場合は、下記ページをご覧ください。
　https://www.jri.co.jp/column/opinion/detail/13552/
　なお、現時点において、業界団体(5)、企業(20)、学会(1)、患者団体(1)ほか医療・経済の専門家がそれぞれ数名参画しています。

■本件に関するお問い合わせ先
　【報道関係者様】 広報部　　　　　　　　　　　　　　 山口　電話： 080-7154-5017
　【一般のお客様】 持続可能で質の高い医療提供体制構築に向けた研究チーム
　　　　　　　　　 担当： 川崎　メール: 200010-JRI_Healthcare_consortium@ml.jri.co.jp