7月日発表予定の日銀短観(6月調査)では、景気回復が持続していることを示す内容となる見通し。
6月の業況判断DIは、全規模・全産業ベースで3月対比+4%ポイントと、小幅な改善になる見通し。製造業では、輸出の増勢が持続していることに加え、国内需要の回復ペースも強まっていることから、前回予測対比+6%ポイントの上方修正となる見通し。非製造業でも、製造業の好調が波及しつつあること、建設投資・個人消費が持ち直していることから、緩やかに改善する見込み。
2004年度の設備投資額は、全規模・全産業ベースで前年度比+0.6%と、2年連続の増加となる見通し。輸出増などを背景に一般機械・電気機械が増勢を維持するほか、商品市況強含みを受けた素材産業、通信・情報サービスなどでも回復する見通し。
今回の短観では、昨年後半からの素材価格の上昇により、一部業種での業況悪化が顕在化する可能性。もっとも、[1]価格上昇は世界的な需要の強さを反映した結果であり、経営環境としては売上増という追い風を受けている状態にあること、[2]川上分野から価格転嫁の動きが広がりつつあること、などを勘案すれば、マイナス影響が深刻化するリスクは小。今後の企業収益を展望しても、地政学上の要因から原油価格が急騰しない限り、基本的に増収増益基調は崩れない見通し。 | |
業況判断DIと設備投資計画に関する当社の予測は次ページ以下の通り。 |
1.業況判断DI
(1)全規模・全産業の6月実績値は、前回調査(3月)対比+4%ポイントと、緩やかな改善傾向が持続すると予想。素材価格の上昇などのマイナス要因があったものの、海外経済の堅調持続、国内景気の回復ペース拡大などが企業マインドの改善に寄与した結果、前回見通し対比+5%ポイントの上方修正に。
(2)製造業では、大企業の改善幅は+4%ポイントと小幅にとどまるものの、中小企業でもプラスに転じることから、全規模で水面上に浮上する見通し。輸出の増勢が続いているほか、内需でも、[1]薄型テレビ・DVDレコーダーなどデジタル家電関連の生産が高い伸びとなっていること、[2]1~3月にかけて落ち込んでいた機械受注が再び強含んでいること、など回復基調が明確化。素材価格の上昇が収益押し下げ要因として働いているものの、マクロでみる限り売上数量の拡大によるプラス効果の方が上回っていることから、業況判断DIを押し下げる力は限定的。 一方、非製造業でも、[1]製造業での生産拡大の影響が波及、[2]工場建設の増加や、首都圏でのマンション需要の好調、[3]所得環境の底打ち、消費者マインドの改善などを背景とした個人消費の持ち直し、など、全体的に改善傾向となる見通し。
(3)9月見通しでは、若干の悪化になると予想。もっとも、これは、[1]先行きを慎重に捉える景気回復期の特徴、[2]素材・原油価格上昇に対する懸念、[3]中国経済の先行き不透明感、などを背景としたものであり、直ちに実体経済の変調を示すものとはいえず。 |
2.設備投資計画
(1)2004年度の設備投資計画額は、全規模・全産業ベースで+0.6%と、中小企業を中心に3月対比着実に上方修正され、2年連続の増加となる見通し。
(2)製造業では、海外経済の回復持続や、デジタル家電生産の拡大を背景に、電気機械・一般機械を中心に積極姿勢が続くとみられるほか、商品市況の強含みが素材産業の能力増強投資を後押しする見通し。製造拠点を国内に回帰させる動きもみられることもあって、全規模にわたり強めの計画となる見通し。
(3)非製造業でも、総じて堅調な計画となる見込み。運輸でのトラック買い替え一巡が減少要因として働くものの、製造業の好調が非製造業へも徐々に波及していくことが見込まれるほか、通信、情報サービスなど成長分野の牽引力も高まる見通し。 |
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