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CSR活動における「エマージング・リスク」対策

2012年08月29日 林寿和


わが国の“CSR経営元年”といわれる2003年から今年で10年目を迎えるが、ますます加速する企業のグローバル展開と、深刻化する環境資源問題や社会・人権問題を背景に、CSR活動のリスクマネジメントとしての側面の重要性が増している。

日本総合研究所では、東証一部上場企業およびその他市場上場の時価総額上位企業を対象にCSR経営に関する企業調査を行っているが、その一環として、各種メディアやNGO等の第三者から日々発信される企業の社会・環境・ガバナンス側面のネガティブな情報(ESGリスク情報)のモニタリングを行っている。弊社が確認した限りにおいて、ESGリスク情報に関連する報道は、2009年1月から足元までの約3年半において2,000件を上回っており、こうした事案が報じられる頻度は増加傾向にある。

背景には様々な要因があると考えられるが、一つには、社会問題・環境問題の深刻化によって、社会の目が厳しくなっていることが影響していると言えるだろう。今までなら何ら問題とはならなかったようなことが問題視されるケースが増えている。急速に進む事業活動の海外展開と、進出先地域の文化・慣習や社会構造などの違いによって、自然保護や動物愛護をうたう環境NGOや人権団体から全く予期しなかった批判にさらされ対応を迫られる事例や、サプライチェーン上の人権問題を理由に納入先から取引停止を迫られる事例も相次いでいる。

これまでも企業においては、法令違反や自然災害、あるいは市場環境の変動などの従来型のリスクへの対策を講じてきているが、前述したように新たに高まりを見せている「エマージング・リスク」にも対処していくことが必要不可欠となっている。そのためには、環境・社会に対する感度を高め、多様化・複雑化するリスクをいち早く察知し、未然に対策を打てるかどうかがポイントとなるだろう。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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