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インド再生可能エネルギーへの期待

2010年11月09日 渡辺珠子


10月27日(水)~29日(金)にニューデリーから程近いグレーターノイダにてDIREC2010(Delhi International Renewable Energy Conference 2010)という再生可能エネルギー(以下、RE)利用の推進についての国際会議(閣僚会議)が開催されました。2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)で提唱された国際再生可能エネルギー会議が、2004年にボン、2005年に北京、2008年にワシントンで開催されたのに続く第4回目の閣僚会議です。会場では各国代表や研究者等によるセミナーが開催された他、各国企業や財団法人による展示イベントが行われました。どの展示ブースも大変盛況で、会場全体に活気があふれており、インドのREに対する需要や期待感をひしひしと感じました。

インドでは、GDPあたりの一次エネルギー消費量が日本の約5倍という高水準にあります。著しい経済成長に伴って今後も高水準で増加すると見込まれており、2030年のエネルギー消費量は現在の約2倍に増加するとの予測もあります。REはエネルギーの需給ギャップを埋めるため、また昨今の環境配慮を反映して益々需要が高まっています。

インド政府はRE利用を促進するため、さまざまな政策を打ち出しています。太陽エネルギー利用については、昨年発表された「ジャワハルラル・ネルー・ソーラー・ミッション(JNNSM)」が代表的です。およそ443億7,000万ルピー(11月9日付のレート:1ルピー=1.83円)の予算を計上し、2022年までに国内の太陽光発電施設の総出力を2万MWに引き上げる目標を掲げています。風力発電会社に向けて発電量に応じたインセンティブ付与の政策も取られています。また、REは無電化農村に対する分散電源としても期待されており、太陽光発電装置のついたランタン(ソーラーランタン)や家庭用電灯に対する補助金政策も打ち出されています。今後積極的にREプロジェクトが打ち出され、各地でRE電源による電力供給が活発化することが期待されます。

しかしながら供給側にはさまざまな課題を抱えています。小規模なREプロジェクトが多くスケーラビリティが進まないといった問題の他、系統接続が進まないことが大きな課題として挙げられます。インドのRE発電設備容量は現在約1万3,000MWですが、系統接続済みなのはそのうち1割程度です。DIREC会場で出会った再生エネルギー省の方からも、「RE活用を拡大するためには、系統接続をいかに増やすかが大きな課題」とのお話を伺いました。折しも日本は現在インドにてスマートグリッドプロジェクトに力を入れています。ここはやはりチャンスと捉え、日本の技術を存分に活用し、インドのRE利用拡大に大きな貢献を積極的にしていきたいものです。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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