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「住まいと教育環境に係るアンケート調査」結果 ~子育て世帯が直面する交通アクセスの課題や、教育移住・放課後の受け皿へのニーズを明らかに~

2026年09月10日 杉原絵美、増田のぞみ、石田阿紗乃、梅澤由記、結城菜々子


 株式会社日本総合研究所は、全国の未就学児から高校生までの子どもをもつ保護者3,000名を対象に、住まいや交通状況と教育に関して子育て世帯の満足度に関する実態を把握するためのWebアンケート調査(以下「本調査」)を実施し、結果を取りまとめました。

本調査の結果は、以下からご覧になれます。
「住まいと教育環境に係るアンケート調査結果」

■本調査の背景と目的
 子育て世帯において、居住する地域の交通環境や利便性は、日々の生活だけでなく子どもの教育や多様な体験機会の確保に大きな影響を与えていると考えられます。実際に、より良い教育環境を求めて転居を検討する動きが出てきています。また従来からあるニーズとして、放課後の時間を過ごす受け皿(学童保育や習い事など)への関心も高まっています。
 本調査は、子育て世帯における住環境の満足度とその理由、教育移住の意向、放課後の受け皿に対するニーズなどの実態を明らかにすることを目的に実施しました。なお、本調査は全国の保護者を対象に広く実施したものであり、障がい等がある子どもをもつ保護者※の回答も一定数含まれていることから、これらの回答についてもあわせて分析を行っています。

■調査概要
調査名: 住まいと教育環境に係る調査
調査期間: 2026年3月
調査方法: Webアンケート(モニター調査)
調査対象: 未就学児~高校生までの子どもをもつ保護者(全国) (障がい等がある子どもをもつ保護者※を含む)
回収数: 3,000人
調査チーム: 株式会社日本総合研究所 共育ちR&Dチーム

※「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」「発達障がいの診断を受けている」「知的障がい・発達障がいと診断されていないが、グレーゾーン(経過観察中) 」「医療的ケアが必要である」のいずれかの子どもがいると回答した保護者(複数選択可)

■総括
 本調査の結果からは、子育て世帯における住環境の満足度や転居の意向に「地域の交通環境や移動・送迎の負担」が影響を与えている実態が浮き彫りとなりました。教育や多様な体験機会を子どもに提供しようとする際、公共交通機関の利便性や安全性がボトルネックとなっている現状がうかがえます。
 他方、約4分の1の家庭が教育環境を求めて転居を経験・検討しているという事実は、魅力ある教育環境の充実や通学・送迎の負担軽減が、子育て世帯の地方移住も含めた転居や地域への定住に対してインパクトをもたらす可能性を示しています。
 また、放課後の受け皿や習い事に対しては、運動遊びや学習サポートなど、日々の生活や子どもの成長を支える多様なプログラムを求める声が、障がいの有無にかかわらず集まりました。なかでも、障がい等のあるお子さまを持つ保護者においては、運動や学習への期待に加えて、少人数でのきめ細かな個別対応や送迎サービスの充実を求める割合が全体と比較して高い傾向にあり、すべての子どもがそれぞれの特性や発達の状況に合わせて柔軟に過ごせる環境や、通いやすさを支える選択肢への期待が示されています。

 日本総研は、インキュベーション・コンサルティングにおけるパーパスである「次世代起点でありたい未来をつくる」取り組みの一つとして、本調査で明らかになった社会的課題の解決に向けた活動を推進します。居住地域や心身の状況にかかわらず、すべての家庭が豊かな教育・体験機会を享受でき、地域社会全体で安心して子育てができる社会基盤(共育ちのエコシステム)の実現を目指し、具体的な事業モデルの構築や様々なステークホルダーへの支援に取り組んでまいります。

■調査結果のサマリー
●交通の利便性・安全性が、子育て面の住環境満足度に大きく影響
 子育てや子どもの教育を考えたときの現在の住環境について、62.7%が「満足している」または「やや満足している」と回答しました。

 満足している理由としては、「治安が良い(43.4%)」「買い物施設が近い/アクセスしやすい(42.9%)」「小学校・中学校が近い(41.0%)」が上位に挙がっています。


 一方で、住環境に不満を持つ層の理由をみると、「交通の安全性に不安がある(21.7%)」が最も多く、次いで「駅やバス停が遠い(21.1%)」、「通いやすい範囲に習い事・学習教室等が充実していない(20.8%)」と続きました。不満の理由においては、交通アクセスに関する観点が1位・2位を占めているのが特徴です。


 なお、住環境への満足度が高い層の7割は「自宅から最寄り駅等までの距離が徒歩10分以内」と回答しており、最寄り駅までの距離が子育て・教育面での住環境満足度に少なからず影響を及ぼしている可能性が示されました。


●約4分の1が教育環境を理由に転居を検討、移動の負担軽減を重視
 子育てやお子さまの教育環境を主な理由として、25.2%(約4分の1)の回答者が「転居を検討したことがある」または「転居に関心はあるが、まだ具体的な検討はしていない」と回答しました。


 注目すべきは、この転居検討・関心層のうち約半数(47.3%)が、地域の公共交通機関の状況を原因として「子どもの体験の機会に制約を感じている」という点です。


 また、実際に転居を検討したことがある層のうち、半数超(56.0%)はすでに転居を経験しています。


 転居を経験・検討したきっかけは「入園/入学/進学のタイミング(23.0%)」や「子どもの成長に伴う住居環境の必要性(20.8%)」に加え、「通学・送迎の負担(19.8%)」が多く挙げられました。


 また、転居の際に重視した(したい)要素としては、「子どもの通学の負担の少なさ(39.6%)」「保護者の送迎の負担の少なさ(26.2%)」「バスや鉄道などの公共交通の利便性(24.9%)」が上位を占め、いずれも交通アクセスや移動の負担軽減に深く関係していることが分かります。なお、転居を見送った理由としては「経済的に厳しい(34.5%)」が最多でした。



●放課後の受け皿へのニーズ:運動や学習サポートなど、多様なプログラムへの期待
 子どもに受けさせたい放課後の受け皿(学童・居場所、放課後等デイサービスなど)や習い事、体験機会の要素について、「特になし」という回答を除いた全体傾向をみると、「運動遊び・スポーツミックス型(20.8%)」が最も多く、次いで「水泳・体操など基礎運動重視型(17.4%)」、
 「学習サポート強化型(16.9%)」の順となりました。このことから、保護者は放課後の時間に対して、体力づくりや学習面の補完を期待していることがうかがえます。


 また、今回の調査では、障がい等のある子どもがいる保護者※の回答についても分析を行っています。該当する家庭においては、全体と同様に「運動遊び・スポーツミックス型(26.8%)」や「学習サポート型(24.8%)」への関心が高いことに加え、「少人数、個別対応重視型(23.3%)」や「送迎サービスの充実(21.1%)」といった項目が全体平均と比較して高い割合を示しました。子どもの特性や状況に応じた個別の支援や配慮や、通いやすさを支える送迎サービスを重視する視点も、放課後の受け皿を選ぶ上での大切な要素となっています。




※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。


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