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Ichigaya Innovation Days 2025 ~参加型の未来~を終えて

2025年12月23日 福田彩乃


 2025年11月28日・29日、武蔵野美術大学が運営するソーシャルクリエイティブ研究所と日本総研は、「Ichigaya Innovation Days 2025~参加型の未来~」を開催した。このイベントは、両者が2023年から共同で進めてきた研究や実践の成果などを発表する祭典で、今回が2度目の開催となった。企業の方を中心に、大学関係者や学生など、2日間合計で268名の方々にご来場いただき、盛況のうちに幕を閉じた。
 本イベントの企画・事務局を担当した筆者より、ハイライトをご紹介する(日本総研の企画展示に関する詳細なイベントレポートは、後日公開予定)。

熱気あふれるトークセッション
 今回のイベントは「参加型の未来」と題して、子どもから大人を含む、聞こえづらい声にも耳を傾け、ひとりひとりが社会に参加できる未来を実現したいとの思いで、そのあり方や方法を考えた。特に参加者の高い関心が寄せられた基調講演について一部内容をご紹介すると、28日には、高濱正伸氏(花まる学習会代表/NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長)と木村篤信氏(地域創生Coデザイン研究所ポリフォニックパートナー/一般社団法人日本リビングラボネットワーク代表理事/東京理科大学客員准教授)より「まだ見ぬ才能や声との出会いを促す参加のデザイン」というテーマで、お話をいただいた。「何かを企画する人は、周囲の人の参加を促すためにどのような工夫・資質が必要か」「誰かの企画に参加する側も、どうすれば意欲や好奇心を持つことができるのか」といった話と、参加型でサービスや社会の仕組みをつくるリビングラボの特徴をご共有いただいた。トークセッションの中では、「不合理を含めた人としての魅力」や「AI時代における不合理を排除しないアート・遊びの重要性」など、改めて参加者に気づきをもたらした。
 29日には、森一貴氏(東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科専任講師/シェアハウス家主)と比嘉夏子氏(合同会社メッシュワーク共同代表/山梨県立大学特任准教授/一般社団法人みつかる+わかる理事)が「<誰>のための<参加>?<何>のための<参加>?」をテーマに、福井県鯖江市で行われている中学生から70代までが参加する「さばえまつり」の事例や、人類学とビジネスの融合について語っていただいた。異質なものとの出会いを「楽しむ」というスタンスの大切さなど、参加をデザインするうえで重要な気づきが溢れるセッションとなった。

トークセッションの様子


対話型の展示による新たな気づき
 本イベントでは、講演のほか武蔵野美術大学と日本総研の共同研究や、武蔵野美術大学・日本総研がそれぞれ単独で展開しているプロジェクトの展示も行った。日本総研の展示では、来場者と研究員の対話を促す空間づくりを心掛けた。具体的には、来場者が「読まなくてはならない」文字数を減らすために、説明的な文章を最低限に留め、プロジェクトの想いや本質をキャッチコピーに凝縮したり、各プロジェクトの歩みを年表形式で表現したりした。視覚的にも直感的にも認識しやすい展示物とすることで、来場者からの質問が出やすかったのではないかと感じられた。
 なかでも、プロジェクトの歩みに関する年表の展示は、各プロジェクトで苦戦した時期や飛躍のタイミングを波線や色で表現しており、「誠実さが伝わる、心に残る展示だった」との感想が寄せられた。2時間以上かけてじっくりと展示を見ながら対話を重ねる方も多く見られ、来場者とのコミュニケーションを図ることができた。展示を通して私たち自身も新たな発見と多くの手応えを得ることができ、デザインの力を改めて実感する場となった。

年表の展示

来場者との対話


次年度に向けて
 クロージングトークでは、日本総研の松岡より来年度も本イベントを開催する方向性が示された。すでに武蔵野美術大学の学生や卒業後も連携研究員として研究活動を続ける方々と、日本総研の若手研究員との共同企画など、新たなアイディアも生まれている。3回目となる次回のイベントにもご期待いただきたい。


本コラムは「創発 Mail Magazine」で配信したものです。メルマガの登録はこちらから 創発 Mail Magazine

※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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