2025年10月24日、株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)は「SOLOサポート研究会(以下、本研究会)」の設立総会兼第1回研究会を開催しました。
当日は、民間企業や自治体、中央省庁、社会福祉協議会など、多様な立場から高齢期の「おひとりさま支援」に関心を持つ参加者が集まり、それぞれの現場で感じる課題や、これからの社会に必要な仕組みについて意見を交わしました。
「支援のはざま」に目を向けて
本研究会は、高齢期における「おひとりさまの身じまい問題」に焦点を当てています。
介護保険制度や成年後見制度などの既存支援の枠組みに入りにくく、また富裕層向けのサービスの対象でもない、いわゆる“支援のはざま”にいる人たち。彼らが安心して自分らしい暮らしを続けられるよう、地域や企業、専門職が協働して支える仕組みを考えていくことが、本研究会の目的です。
設立時点では、金融機関、保険、通信、地域インフラ企業、ベンチャー企業など5社が参画し、中央省庁や自治体もオブザーブとして30団体以上が参加しました。
(※研究会の設立背景は、2025年9月16日付のニュースリリース「高齢おひとりさまの身じまい問題の解決に向け、サービスモデル開発等に取り組む『SOLOサポート研究会』の設立について」もご参照ください。)
開会挨拶

開会にあたり、日本総研 常務執行役員 荒井裕之より、次のような挨拶がありました。
「高齢期の支援を家族に頼る時代から、社会全体で支え合う時代へと移りつつあります。行政・民間・地域のどこか一つでは完結できない課題だからこそ、多様な主体が連携し、本人の意思を尊重しながら支えていく仕組みづくりが求められます。本研究会が、実践を通じて新たな社会基盤を形づくるモデルとなることを期待しています。」
社会構造の変化を見据えながら、「誰もが最期まで安心して暮らせる社会」の実現に向けた思いが共有されました。
研究会概要説明
 
 続いて、日本総研 創発戦略センター シニアスペシャリスト 沢村香苗より、「おひとりさま身じまい問題の概観と今後のあるべき姿」と題した講演が行われました。
高齢者の身じまいに関連する問題の提示と「支援のはざま」層への対応の必要性が示されたうえで、今後、支援を検討する際の視点の整理がなされました。また、支援が必要な対象の捉え方として、「身寄り力」という新たな考え方も提示されました。
参加者からは、
•「“自分ごと化”が難しいテーマだからこそ、早い段階からの支援のしかけづくりが重要」
•「自治体・民間企業・専門職が共通の基盤で連携できる仕組みが不可欠」
といった意見が寄せられ、立場を超えて課題意識を共有する時間となりました。
後半では、日本総研 創発戦略センター マネジャー 辻本まりえより、本研究会の運営方針と活動計画について説明がありました。
今年度は、次の2つの柱を中心に検討を進めていきます。
1.身じまいに関する高齢者マーケティングの分析
2.SOLOサポートのビジネスモデル検討
これらの取り組みを通じ、2026年度以降には、参画企業や自治体によるサービス実装を視野に入れ、連携モデルの具体化を目指します。
閉会挨拶

閉会にあたり、日本総研 創発戦略センター所長 松岡靖晃からは、次のメッセージが寄せられました。
「制度や既存サービスの“支援のはざま”にいる層に対して、新しいビジネスと社会的支援を両立させる仕組みを、ぜひ本研究会から共創していきたい。」
ネットワーキング
閉会後にはネットワーキングの時間が設けられ、参加企業・団体の間で活発な意見交換が行われました。
「自社の事業としてどう関われるか考えたい」「地域でも同じ課題を感じている」など、今後の協働への期待が高まる時間となりました。
超高齢・単身化社会を迎える中、「おひとりさまの身じまい問題」は個人だけの課題ではなく、地域経済や企業活動の持続性にも関わる社会的なテーマとなりつつあります。SOLOサポート研究会は、この課題に対し、現場の知恵と多様な主体の力を集めながら、実践的な解決策の共創に取り組んでまいります。
※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。


