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高齢者向け住まい等における適切なケアプラン作成に向けた調査研究

2024年05月30日 森下宏樹、紀伊信之齊木乃里子高橋光進大内亘


*本事業は、令和5年度老人保健事業推進費等補助金老人保健健康増進等事業として実施したものです。

1.事業の背景・目的
 住宅型有料老人ホームおよびサービス付き高齢者向け住宅(以下、「高齢者向け住まい」と言う。)は、全国で既に60万戸を超え、高齢者にとって、介護が必要になっても安心して自分らしく生活できる住まいとして重要な役割を担っている。こうした中、多くの事業者においては、利用者のニーズに沿った適切なケアプランが作成され、適切な運営が行われている一方で、一部ながら、入居者に対して過剰なサービスが提供されている問題等も指摘されている。
 上記の背景を踏まえ、本事業では、令和3年10月より開始された自治体における「高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検」の意義・効果を明確化しつつ、点検の効果的な実施に資するポイントを整理・発信すること等を目的として、各種調査・検討を行った。

2.事業の概要
 自治体における高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検の推進に向けて、複数の自治体に対するヒアリング調査を実施するとともに、有識者によるワーキンググループにて課題や解決策について議論し、整理を行った。また、現場ケアマネジャー等の関係者への啓発の観点から、高齢者向け住まい等に関する適切なケアプラン作成をテーマとしたケアマネジャー向け研修や、自治体におけるサービス提供事業者への集団指導時に活用できる啓発動画の作成を行った。

3.事業の成果
 高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検は、入居者が「安心して」「自分らしく」生活できる高齢者向け住まいを普及させるため、自治体として活用できる極めて有効な取り組みである。本事業では、自治体における効果的な高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検を推進するため、同点検の意義・効果、取り組みのためのヒント等を整理した自治体向け冊子を作成した。
 また、複数地域において、現場のケアマネジャーに対し、高齢者向け住まい等に関する適切なケアプラン作成をテーマとした研修を実施した。いずれの研修も、受講実績を主任ケアマネジャーの更新要件の一部として活用できる仕組みにしたことによって、多くの参加実績を得た。加えて、その他地域での啓発活動の促進のため、研修の企画主体が簡易に研修を行うことができるよう講演動画を作成した。

4.今後の課題
 今後は本事業で作成した自治体向け冊子が全国の自治体に展開され、各自治体における取り組みが一層強化されることが期待される。また、研修に関しては、参加インセンティブを付与した仕組みや本研修動画の活用を通して、全国各地で同趣旨の研修が開催されることが望まれる。
 過年度の調査研究も含め、本事業では、高齢者向け住まいにおける適切なケアマネジメントを促進するために、主としてケアマネジャーや自治体に対する働きかけを行ってきた。一方で、適切なケアマネジメントを通じた入居者のより良い暮らしの実現のためには、高齢者向け住まい運営事業者の意識改革等も求められる。今後は、高齢者向け住まい運営事業者の経営や事業運営の実態を把握し、高齢者向け住まいにおける介護サービス提供のあり方に関する検討を行うことも必要である。

※本調査研究事業の詳細につきましては、下記の報告書および別添資料をご参照ください。
報告書
報告書別冊資料(高齢者向け住まい等における効果的なケアプラン点検推進のためのヒント)

【本件に関するお問い合わせ】
リサーチ・コンサルティング部門 マネジャー 森下宏樹
E-mail:morishita.hiroki@jri.co.jp

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