高まるBOPビジネスへの関心 昨年、日本企業のBOP(Base of the Pyramid)ビジネス(*)への取り組みを強力に後押しする制度が、国際協力機構(JICA)から打ち出された。「BOPビジネス連携促進制度」(以下、促進制度)と呼ばれるこの制度では、BOPビジネスへの参画を検討する企業やNGOに対し、調査費用として最大5,000万円(3年間)をJICAが負担する。近年、JICAは民間企業との連携に力を入れているが、その背景には、ODA予算の縮小が続くなかで援助の効果や効率性を維持向上させるためだけでなく、国民に対してODAは「日本の経済に資する」ものである、との評価を得たい思惑がある。 一方、民間企業では、新興国戦略や新規事業戦略といった、将来にわたるグローバルな収益基盤形成の一環としてBOPビジネスに期待している。ただし、アジア・アフリカ諸国のBOP市場は情報が少なく、参入方法も不明瞭であるため、簡単に投資できる分野ではない。調査費用を一部負担する促進制度は、BOP市場参入を検討する企業には「渡りに船」であり、実際、促進制度には198法人から関心表明が寄せられるなど、本ビジネスへの高い期待がうかがえる。