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野田首相の所信表明演説でも原発問題の早期の収束が...

2011年11月01日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2011/11/01)
野田首相の所信表明演説でも原発問題の早期の収束が取り上げられました。原子炉自体は関係する方々の懸命の努力で冷温停止に向け動き出しているように見えます。しかし、深刻さが一層増す問題もあります。その一つが、土壌等の処理です。原子力発電所から何百キロも離れた地域で強い放射線が検出されるなど、原発事故で放出された放射性物質は広いエリアに拡散しました。今後、膨大な量の、放射性汚染された土壌、焼却灰、汚泥をどのように処理するかを考えていかなくてはなりません。大きな人口を抱えるエリアでの放射性廃棄物の処理、という世界的に見ても経験のない困難な事業に挑むとの認識が必要です。

土壌については削り取られた表土を集めて中間貯蔵した後、処分されるとされています。一つの考え方ではありますが、貯蔵施設をどの地域が受け入れるのか、処分方法は信頼できるものか、などについて専門的な知見と高度な政治的判断が求められることになります。一方で、放射性廃棄物の処理に知見のある人には、現状の貯蔵、処分案が十分だと思っていない人が少なくありません。

原発事故をどのように処理できるか、は国内だけでなく海外でも日本の信頼が問われる重要な問題となっています。財政負担などへの懸念もあるかもしれませんが、出し惜しみをすると、失うものが資金問題以上に大きくなる可能性もあります。福島に目を向ける多くの人が納得する計画が練り上げられることを期待します。

[ Ikuma's Photo ]
[写真上]瀬戸内海に浮かぶ香川県の豊島では、大規模な産業廃棄物の処理事業が行われています。一部では、廃棄物が処理され、もとの岩肌が見えるようになっています。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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