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いよいよ、電力不足の夏が始まりました。先週は6月にもかかわらず、...

2011年07月05日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2011/07/05)
いよいよ、電力不足の夏が始まりました。先週は6月にもかかわらず、各地で真夏日、猛暑日を記録しました。心配された電力消費ですが、私は新聞のインタビューに「需要家は健闘している。出足は上々ではないか」と答えました。30度を超える暑さの中で東京電力管内の消費電力のピークは概ね4000万kW前半に収まったからです。政府が求めている15%の省エネは達成されているのではないでしょうか。どこの企業もオフィス内の温度は限界近くまで上がっています。汗を拭きながら仕事を続ける姿には、東日本大震災の際に世界が称賛した日本の素晴らしさが浮かびます。

しかし、本格的な夏に向けては不安だらけです。猛暑日が長期に及んだ場合、今の忍耐が持つでしょうか。既に、熱中症の被害が出ています。電力消費は供給力の範囲内に収まるでしょうか。6月最終日の電力需給の余裕は7%にまで低下しました。万が一、猛暑日にブラックアウトが起これば、国民の健康と国家経済が大変な被害を受けることになります。

7月からは37年ぶりと言われる電力使用制限が始まりました。電力需給がひっ迫すれば、計画停電を求める事態が発生するかもしれません。仕方がないことかもしれませんが、懸念はあります。「国民が我慢できることを前提にし過ぎていないか」ということです。東日本大震災の際、世界から称賛された日本国民ですから、きっと相当に頑張ってくれるでしょう。しかし、我慢が過ぎて、力尽き倒れる人が出るようなことがあってはいけません。

政府は誠実な国民がそうならないよう最大限の努力を払わなくてはならないのです。具体的には供給力の徹底的な洗い出しです。世間には稼働していない中小型の自家発電機がまだまだあると言われています。非常用でも構いません。勝負は需要ピークの3、4時間なのですから。100kW、1000kWの小さな電源を一つでも多く動員するための努力をするべき時です。梅雨が明け、本格的な夏が到来するまで、残された時間は半月しかありません。

[ Ikuma's Photo ]
[写真上・下]タイでは、国王がなくなると離宮が公開されます。下の写真右はラマ14世、15世の離宮の跡で、山の上の壮麗な建物となっています。タイ王朝の栄華を偲ばせます。左はラマ16世の離宮の跡です。バンコクから200kmくらい西にある海外線にあります。自然を愛した国王の想いが伝わってくる設計です。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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