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2011年3月期の企業決算は好業績が予想されています。...

2011年02月08日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2011/02/08)
2011年3月期の企業決算は好業績が予想されています。それでも、国内の雰囲気が良くなっているとの実感はありません。人口減少や高齢化のような趨勢的な理由もありますが、悲観的な世相の原因となっているのは政治と行政の構造である、という点には多くの人が同意するでしょう。

日本の政治、行政構造を考えていると先の大戦で活躍したゼロ戦という戦闘機を思い出すことがあります。この飛行機は、開戦当時世界最強と言われながら、終戦時には世界の水準から離されてしまいました。度重なる改造も抜本的な性能の向上につながりませんでした。一方、開戦当時並び称されたドイツやイギリスの戦闘機は大幅な性能向上を遂げ終戦当時も第一線で活躍するだけの性能を維持しました。こうした差を生んだ原因は並はずれた性能を発揮するために設計上の余裕、つまり変化するための柔軟性を犠牲にしたからだと思います。

色々と問題点が指摘される日本の行政構造ですが、高度経済成長を支えたことは紛れもない事実ですし、分野ごとに見ると、実によく考えられている面があります。最近、インフラ輸出で日本の民営化などの遅れが指摘されることがありますが、行政構造が高度に作り上げられた結果という面もあります。民営化などが進む諸外国では、日本に比べて行政構造がラフだな、と思うことが少なくありません。

現状の閉塞感はある時点で完璧なシステムを作り上げたことの結果でもあるのです。内向き志向で独自の高度なシステムを作り上げることは良くも悪くも日本の特質なのかもしれません。そうであるなら、次世代に向けて、日本が活力を取り戻すためには、高度に作られた構造を思い切って捨てるしかありません。問題は主体的に自ら変え得るか、おおきな歪みが入ってから変えることになるか、なのでしょう。

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※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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