IKUMA message
新潟県中越地震は大変な被害を引き起こしました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
2004年11月09日 井熊均
「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2004/11/09)

今年はこの大震災に加えて、度重なる台風もあり、改めて自然の驚異を思い知った一年でした。そして、こうした災害の度に思うのは、被災された地域を迅速に復興するための仕組みが不十分である、ということです。
私は、ここ10年くらいの間、非効率な公共事業のあり方を批判してきました。しかし、近年の災害を見るにつけ、リスクマネージメントのための社会基盤づくりについては重点的な整備が必要と思っています。災害時の情報ネットワーク、緊急救援の体制、失われた家屋やインフラ整備のための迅速な投資、などです。
そのためには、公共投資だけでなく、人材育成、地域の参加、民間資本による支援、マネジメント体制、財政運営等、多岐にわたる取り組みが必要となります。ただし、日本の公共財政は破綻状況にありますから、単に公的資金を投じるだけでなく、効率的で柔軟なシステムを考えなくてはなりません。慣行に囚われない発想と枠組みが必要です。
昨今の異常気象を見れば、少なくとも台風による災害は決して一過性のものとは思えません。これまでの防災の前提が変わっている、という考えに立ち、自然の驚異に備え得る新しい社会システム作りが求められています。

千葉の北端にある屏風が浦と呼ばれる景観です。地球の歴史の中では10mもの断崖 を作り出す地殻変動もあったのでしょう。
[写真左]
海岸線にあった奇妙な砂の形状です(砂浜が何十mにわたってグランドキャニオンのように削り取られています。) 恐らく、豪雨による水流が作り出したと思うのですが、どなたかお分りになる方いらっしゃいますか。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。