Sohatsu Eyes
京都議定書とバイオマス
2006年12月05日 石田直美
京都議定書の目標達成がいよいよ厳しい状況となってきました。日本は既に1990年比8.1%増(2005年度速報値ベース)で、目標達成には15%もの大幅な削減が必要です。取り組みの先行する欧州も1990年比1.7%減(2003年時点)であるほか、カナダが同24.2%増等、いずれも苦戦しています。
こうした中、11月に第2回京都議定書締約国会議(COP/MOP2)がナイロビで開催されました。この会議では、第一約束期間(2008年~2012年)の終了後の温室効果ガスの削減に向けた取り組みについて具体的に話し合われる見込みでしたが、途上国の反発により「2007年に公式交渉を開始する」ことの確認に留まる結果となりました。
2013年以降の取り組みの具体化のためにも、先進国は第一約束期間に大きな実績をあげることが必要です。当社はバイオ燃料の活用に注目しています。
最も注力しているはバイオガス(www.jri.co.jp/press/press_html/2006/061120-1.html)です。バイオガスの発生源となる湿系バイオマスはわが国に豊富にあります。従来のようなオンサイトでの発電利用のほか、ガス体として流通させ、需要家施設にて利用することを計画しており、北海道及び鹿児島地域でプロジェクトを立ち上げ中です。現状ではガスとして流通させるのに様々の法的制約がありますが、規制緩和等が進むことで、採算面でも大きな改善が見込めます。
中国等の途上国でも、バイオガスは幅広く利用されていますが、発生したガスをそのまま利用している場合が多く、硫化水素等の不純物によって消費機器がぼろぼろになっているようです。日本が得意とするガス精製技術等を活用することで、より適切な利用が図れると期待されます。
バイオエタノールやバイオディーゼルでも、新規事業の立ち上げ支援等を行っています。
京都議定書の目標達成に少しでも近づくよう、皆さんも身近なバイオマスに目を向けて見ませんか。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。